表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言葉で伝わらなくても。  作者: モロキ
42/105

遭遇

その日の午後イチで5階のIT統括部に行き、部長の確認印を貰って戻ろうとした時、廊下の向こうから やって来る彼と橘の姿が目に入った。

隠れるところがどこにもない。

私は俯いたまま、お辞儀をして通り過ぎようとした。


「佐倉、こんなとこで珍しいな。」

橘が立ち止まる。

仕方なく足を止めて顔を上げ、IT部の部長印を貰った帰りだと説明する。

「機嫌良かったろ?

部長、佐倉のファンだから。」


「ファンって? 何それ? 親切ではあったけど。」


「ホントかよ?鬼部長のくせに。営業の女の子の中で、一番感じが良いって、この前言ってた。お宅の部長にITにお使いさせろって、無茶ぶりしてた。」


「そう………なの?」

そんなの聞いてもうれしくないよ。


「人気者だね、佐倉は、」

橘に嫌味っぽく言われる。


「ハハハハ……」と力なく笑う。


その時、それまで黙っていた藤井さんが

「先に行ってるから。後から来て。」と橘に声をかけてIT部に入って行った。

その声にビクッとして、藤井さんを見上げる。

私を全く映さない瞳は冷たい光を放っていた。


藤井さんが去った後、


「…… お前、何してんの?」

橘の不機嫌そうな声。


「何もしてない。」と答える。


「修正可能なの?」

そんなことを聞かれても、不可能としか言えないよ。


「状況最悪だな。すげぇ徒労感……

俺の、お前に費やした時間を返せ。

無駄骨を折らせやがって。」


「ごめん……なさい?」

首を傾げて、必殺の上目遣いをしてみる。


「全然……かわいくない。」

と全否定された。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ