噂
栞ちゃんは、出勤早々に更衣室で仕入れた情報を披露した。
「とても綺麗な方だそうです。
藤井さんとお似合いなんだそうです。
目撃者によると、
少し年上みたいだったいうことですよ。
年上女房はなんとかって諺があるくらい、
年上女性と年下男性は相性がいいんですよね。
ホテルのロビーに二人でいるところを目撃されたみたいですよ。
一緒にエレベーター乗ったんですって。
キャーですよね。
エレベーターでどこに向かったんでしょう?
目撃情報はここまでですけど、どうしてちゃんと
見届けないんですかね。
「追跡調査は抜かりなく」は鉄則なのに、
残念です。
でも、部屋を取ってたに決ってますよね。
美男美女のエッチはなんかイヤらしいです。
経験不足で、妄想が追いつかず、
ここから先は、想像は無理です。
すみません。」
栞ちゃん、朝からスゴい破壊力がある武器持ってるね。
機関銃ですか?その手に持っているのは!?
木っ端微塵、一面焼け野原だよ。
橘が拾ってくれるはずの骨も残ってないよ。
こちらを見ている八重は、何か言いたそうだったけれど、何も言わなかった。
始業の時間になり、デスクに着く。仕事に集中をすることで忘れられる………私は救われた気がした。




