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躊躇
昨夜の夢は、慎さんとのセックスがリアルで、目が覚めてから泣いた。涙が止まらなくて、ずっと泣いていた。彼の腕の温もりが懐かしかった。
今までは、別れ際の酷い言葉を思い起こしては、彼を恨んでいたのに………
今は、できることなら
彼のもとに戻りたいと思う。
それでも、あの言葉を忘れることができない。
紛れもなく、彼から発せられた言葉だったから。
あの言葉は一瞬で、私の心を凍りつかせる。
私は、溶かす術を知らなかった。
彼からのメールを消去したことを悔やんだ。
別れてからの彼の思いを知る手立てがない。
結局私は進むこともできず、諦めることもできず、立ち止まったままだった。
気がつくと、橘と話した夜から1カ月が過ぎていた。
季節は夏へ移り変わり、蒸し暑い日が続く。
橘は1カ月前に、ギリセーフと言ってた。
今はもう、余裕でアウトだと思った。
彼とはニアミスさえもなくて、私は携帯を眺めては、溜め息をついた。
そんな時、彼の新しい彼女の噂を聞いた。
栞ちゃんが聞いてきた。




