検討会 4
「でも、」
橘は、続ける。
「お前さ、毎日浅はかことしちゃってるけど、
今日の"浅はか"は、また別。」
まだ、あるの!?
目を見開く。
打たれ弱い私は、
橘がずっとそんな目で私を見てたってだけで、
ガックリきて、心が折れていた、
これ以上は
「聞きたくない…………よ?」
「聞いとけ。」橘は強い口調、
「嫌だ」
「あのさ、」
私の拒否をスルーして、橘は、続ける。
「女のコにキツイこと言っちゃったって、
後悔すんの分かってて、俺も今言ってる。
だから、聞いて。」
橘は、私を見る。私も橘を見る。
目が合う。
「お前を浅はかだと思う理由は、言葉の裏を読まないから。」
「言葉通り受け取って、発言の意図を探ろうとしないのは、浅はかな人間だろ?」
「何のこと、言っているの?」
「分かってるくせに、」
一呼吸おいて、橘は、私を見据えた。
「藤井さん、
逃げるなよ。」
そうか、
橘忙しそうで、残業続きだったのに、
この飲みは即決だった。
「今日は、それが、言いたくて……?」
橘が言葉を引き取った。
「わざわざ、時間作った。」
「ありがた迷惑!!」
「言うと思った。
お前、浅はかだから 。」
橘は、続ける。
「大人になれよ。
佐倉は、子どもっぽ過ぎる。
サービスエリアの一件だって、そうだろ?
後先考えもせずに、どしゃ降りの中、車から飛び出して、俺が行かなきゃどうする気だったんだよ?
何でそんなに、感情で動けるのか、
理解出来ないよ。
もっと考えろよ。」
橘は私を見据えたまま、続ける。
「藤井さんと話せよ。
簡単に切るなよ。
面倒臭いお前をいいと言ってくれる奇特な人だ。
つながりを、もっと大事にしろ。」




