検討会 2
「佐倉ってさ、」
一杯目のビールを飲み干し、通りがかった店員にお代わりを頼む。梅酒サワーも一緒に頼む。
橘は続ける。
「あんま、経験ないよな、」
なんッ・・てこと、言い出すんだ!?
突然の途方もない発言に身体が固まる。
私の反応を全く気に留めずに、
橘は続ける。
「もちろん男経験含めてな、
あんま、経験してきてないよな。」
なんで、断定なの!?
「腹黒」から「浅はか」へと、そして、とんでもない方向へと話が飛んでゆく。
「なのに、男慣れしてるスタンスをとってんの、ダメだろ!?
佐倉はさ、男連中に隔てなく話しかけて、いい女ぶってるよな。適当にかわいいし、そりゃ、男はお前を気にするさ。
そのくせ、男が近寄ると、すげぇかたくな。
固まっちゃうのな。素直になりゃしない。
蕩けたりなんかできなさそー、
もうさ、分かりやす過ぎて、浅はかだってこと。」
「そんなこと、な」と否定しかけると、
「あるよな。」とかぶせてくる。
「言っただろ?お前分かりやすいって。
何考えてるか、見え見えなんだよ。
ある程度経験のある男は、すぐ見抜くさ。
かわいいと思えるかは、男の萌えポイントがどこかに拠るけどな?」
なんで、言われっぱなし!!しかも上から目線!!
は、反撃しなくちゃ、
「橘は、私と……付き合いたい……の?」
反撃になった………?
「まさか、、、面倒臭くてたまんない。
悪いけど、遠慮しとく。
仕事忙しいし、余裕ないし、
けど、
同年代の男だとさ、佐倉のそんなとこ、
気づきゃしないよ、騙くらかしたらどう? 」
と、そこまで言って、橘は息をつく。
少し間をおいて、
「藤井さん、惜しかったよな。
お前の面倒くさいとこ、
かわいいと思ってくれる奇特な人だったのに。」
と、残念がる。
「でも、」と橘は続ける。




