後日談 2
真性のMッ娘栞ちゃんは、惜しみない賛辞を贈っていたけれど、
八重は栞ちゃんとはまた別な意味で、
今回のお見合いに、感銘を受けたようだ。
「神様って、見てるんだねぇ………」と
つくづく感心している。
「見合い相手が好人物だって言ってたから、
アンタがいつもの愛想のよさで、
その気にさせて振り回すのは、目に見えてたんで、
申し訳ない、往生してくれと
手を合わせてたんだけど、
ちゃんとしっぺ返しが
来るんだね。
それにしても
神様、過激だね。
やんわり諭せばいいものを、
こてんぱんに叩きのめすなんて、
下手なことはできないよね。」と、
ウンウン頷いている。
間違ってるよ、八重。
私を叩きのめしたのは、
神様ではなく、柿木さんだっけ、だよ。
って、叩きのめされてないし、
目一杯、ダメージを受けたけど、
まだ、戦う気満々だし………?
ゴメンナサイ、嘘をつきました。
二度と会いたくないです。
あんな、最低最悪な男には!!
全く男の趣味が合わない
栞ちゃんはテンション高いまま、
無邪気に
「里菜先輩、傘を返してもらわなきゃ、ですね。
えっと、、、
一緒に行ってもいいですか?
行っちゃ、ジャマなこと
充分承知してます。
でも、どんな人なのか、見たいんです。
実物は5割増しかも!?
だったら、キャーですね。
いえ、分かってます。
人の恋路を邪魔するやつは何とかですもん。
話しかけたりしません!
見るだけでいいです。
我慢します。
だから、お願いします!」
と、ぐいぐい押してくる。
イヤイヤ、あり得ない!
何を言ってんの、この子は!?
「話を、ちゃんと聞いていたかな?」
ピキッと青筋が立つ。
憤然やるかたない。
「栞ちゃんの好みにドンピシャなのは、
分かった。
だ、け、ど、もう断ったの!(ここ、重要!)
傘なんて 、いらない。
てか、あいつに呉れてやる!」
と捲し立て 、もう一度、念押しをする。
「分かった?
私はあいつに会いたくの!
もう二度と!!」
言ってやった。
力を入れすぎて、空気が食道に入った。
ゲホッゲホッと、咳き込む。
私の本気が伝わって 、
栞ちゃんは、
「分かりました。
会いたいけど、
あきらめるよう、
努めます。」
と引いたものの、未練がましく言った。
黙って、やりとりを聞いていた八重は、
「栞ちゃん、
悪いことは言わないから、
止めといた方がいいよ。
尽くす女になっちゃうよ。
泣かされるだけだよ。」
と口添えしてくれた。




