後日談 1
月曜日、
「ステキ!!」
栞ちゃんは 、目をキラキラさせ叫んだ。
「完璧です。完璧!!」
「素晴らしいです!!最高です!!」
惜しみない賞賛が贈られる。
私に対してではない。
柿木さんだっけ、に対してだ。
私が受けたダメージは、日曜日を経ても、
まだ回復しない。
あの男が車を出した後、傘を車内に置き忘れたことに気づいた私。
施設の軒下にたどり着くまでに、かなり濡れた。
施設内の自販機で、缶コーヒーを買った。
缶の温かみがうれしい。
椅子に腰掛け、プルトップを引きながら、
これからどうしようか思案する。
最初にしたことは、
敦子さんに断りの電話を入れたことだ。
礼に敵っていまいが構わない。
敦子さんは、「あなたたち、どうしたの?
さっき、あちらからも断りの電話があったわ。
柿木さんは、僕の手に負えないと、
おっしゃってたわよ。
あなた、何をしたの?」と、
私に非があるかのように、責めた。
「敦子さん、今の言葉、そっくりあちらに返して。
姪が、自分の手に負えないと申してましたって。」
私の方が振られた感が漂う。
敦子さんへの連絡に遅れを
取ったことが、
悔しくって仕方ない。
降り続く雨は、上がる気配がない。
この場合、
「誰かを呼び出して連れて帰ってもらう」が、
正解だよね。
問題は、誰を呼び出すかだ。
車を持っていて、この週末予定が入っていない人、
ここまで、気軽に来てくれる人、
恩着せがましくても、まぁ、仕方ない、許そう。
携帯の電話帳を開いて、適任者を探す。
そんな都合のいい人なんていなくて、
でも、八重には電話できなくて、
橘を頼った。
幾らかは事情を話さなくてはならなくて、
「お前、何してんの?」と呆れられたけど、
今度奢る約束をしたけれど、
夜になる前には、
無事家に帰り着いた。
週明け、
この散々だったできごとを
話した。
その時の栞ちゃんの反応が、
冒頭である。




