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言葉で伝わらなくても。  作者: モロキ
21/105

前日

お見合いが明日に迫った昼休み、社食で

いつもの3人で定食を食べる。

メニューは、キャベツの千切りを添えた

豚肉の生姜焼き定食に、

ニラがいっぱい載っかった冷奴、

キュウリの酢の物に、

香の物に、紫のゆかりを振りかけたご飯。

ニラ好きな調理師さんがいるのかと考えていると、


「いよいよ明日ですね。

ドキドキします。」と、

栞ちゃんが 右手に持った箸を握りしめて言う。


「もっと声を抑えて、」

小声で言って、周囲を見回す。

大丈夫、誰も気にしてない。

「何で、栞ちゃんがドキドキするのよ?」と

尋ねる。

栞ちゃんは、若干低い声で、

「お見合いは初めてなんで、興奮します。

だって、結婚するかもな相手なんですよ。

どんな人か想像するし、

素敵な人だったらいいな、とも思うし。

ご趣味は?なんて聞かれたら、

どう答えたらいいんですか?

本当のことを言っても構わないんですか?

言ったら、ドン引きですよ。

でも、最初に言っておかないと。

それでも構わないか確認しておかないと。

後からは言えませんよ。

あ~ どうしよう。なんて言おう………

それでは若いお二人で、になったら、

どうしたらいいんですか?

相手が話しかけてくるまで、待った方がいいですよね?

でも、おとなしすぎはNGですよね。

どの程度のおしゃべり具合がいいんですか?

あと、

失礼なこと言ったら、どうしようって思うし、

失敗したらどうしようって思うし、

やっぱり、NGワードってあるんですよね?

「切る」とか、

あぁ、とんでもないことをしちゃいそうで怖い!

…………………

…………………


私、変ですよね。変なの分かってるんですけど、

考え出したら、止まらないんです。」

ようやく栞ちゃんの妄想が終わった。


「今の栞ちゃん、怖かったです。」

私は、感想を言った。


八重は違う感想を持ったようだ。

「栞ちゃんは普通だよ。

冷めてる里菜が変なだけ。」

と私を睨む。


睨まれた私は、言葉を返すことを止めて、

目の前の生姜焼きを食べることに

専念した。


「八重ちゃん、里菜ちゃん、久しぶりだね?」

の声に 、視線を上げると、

同期の受付嬢、エリコサンが

「一緒していい?」と隣に座った。

ダイエット中だと言うエリコサンが手にしているのは蒟蒻サラダ。ポン酢の味付けがさっぱりしている一品だ。

バーゲン情報などを交換していると、

突然、岩瀬さんと付き合っているのか尋ねられた。

初耳の八重と栞ちゃんは驚いている。

「噂を聞いたの?」と聞くと、

「うん」と頷いて、

「お姉さま方がやっかんでるから注意してね。」と言われた。

「でも、それ、嘘。」と八重たちに同意を求めると、ウンウンと頷いてくれる。

「火のない所でも、煙が立つからねぇ」と同情され、放っておくことでまとまった。






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