連絡
コーヒーを飲み終え、お風呂の用意をしていると、
伯母さんから、
お見合いの日が来週末に決まったと、
連絡があった。
伯母さんはお母さんのお姉さんで、敦子さんと言う。
こっちで人材派遣会社に勤めている、アラフィフ超えの独身だ。独り身は寂しいと見合いを繰り返すうちに、紹介する側の魅力にハマったそうだ。
地球上の何億人もの中から、たった一組のカップルの出会いを演出する喜び について、以前、お母さんに語る姿は熱かった。
目標は地球規模の出会いの演出、
でも、とりあえず近場から手助けしたいと考えて、
自分の周りにいる独り者に似合いの相手を勧めているそうだ。
そんな敦子さんから見合いの心得を聞かされる。
「お見合いは最初の5分が勝負だからね。
感じの良く振る舞うんですよ。」
「就活みたいだね。」
それだったら大丈夫。面接対策は熟知している。
今の会社に入るために、頑張ったもの。
「相手に欲しい人材だと思わせる点では似てます。まずは外見で勝負して、この話を進めたいと思わせるのよ。中身は後からじっくりと知っていったらいいわ。と言っても、人柄の良さは調査済みだから、安心してちょうだい。」
「サンヘイだっけ?」
「人聞きの悪い。
本人を前にして、そんなこと言わないでよ。
釣書を見たでしょう?素敵な人ですよ。
送った写真は見ましたか?」
人聞きが悪いって、敦子さんが言ったくせに、
と思ったが、反論はせずに
「見たよ。優しそうだったよ。」と言った。
「でしょう?良い人ですよ」
「う~ん、どうかな………。」
「なんですか、気のない返事をして、
まぁ、いいわ、早く休みなさい。」
「分かった、おやすみなさい。」
「はい、おやすみなさい。」
電話終了。
動き出したお見合い話。
後戻りはできない………
「本当に進めていいの?」
心に問いかけてみたけれど、
応えはなかった。




