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言葉で伝わらなくても。  作者: モロキ
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今晩の夢

ゴクゴク水を飲んだ後、シャワーで頭をスッキリさせると、ベッドに倒れ込んだ。

疲れた。週末まであと3日。今日はこのまま何も考えずに眠りたい………。


慎さんが目の前で笑う。

「里菜………」私を呼ぶ声が好き。

彼の声は、その時々で違う衣を纏う。

柔らかだったり、甘かったり、艶を帯びたり、

容易く私を魅了し、酔わせる。

左手で私の顎を上げ 、右手は頬を数回撫でて後頭部に回される。

「目、閉じようか」 耳許で囁かれる低声ボイス。

彼をじぃっと見つめていたことに気づき、頬がかぁっと熱を持った。恥ずかしくてぎゅっと目を閉じると、瞼に柔らかな感触。そのまま、彼の唇が額や頬に降ってきて、唇が重なった。軽く合わせた後、角度を変えて、何度も合わせる。上唇下唇を吸ったり、噛んだり、舌で舐めたり、最後にチュッ

と音を立てて離れた。息が上がり、心臓のドキドキが半端ない。乱れ打っている。

こんなキス知らない、したことがなかった。


「舌、出して」再び耳許で囁かれる低音ボイス。

とっくにキャパを超えていた私はぶんぶんと首を振り、彼の胸を両手で押した。びくともしない。力を込める。


成りゆきで付き合うことにはなったけれど、まだ、好きだと言葉で告げてなかった。彼からも「好きだ」とは言われていなかった。次の段階に進むには、リスクがありすぎな気がした。


「嫌がっている子に無理やりするのは趣味じゃない。」そう言って、彼はホールドしていた腕を弛めいてくれた。


彼の拘束から逃れた私が胸に手を当てて息を整えるさまを面白そうに眺めていた彼が言った。

「ウブだね。」


「そう思いますか?」と言い返した私は、弱味を見せたくないだけだった。


今晩の夢は、彼との初めてのキスだった。







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