表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言葉で伝わらなくても。  作者: モロキ
103/105

深層 3

よく分からないけれど、

今の言葉から察するに、

藤井さんは何やら納得したようだ。


だから、

もう良いよね、おいとましても。

もともと出来るだけ速やかに退散しようと思っていたんだし、これ以上喋ると、言わなくてもいいことを喋ってしまって、後悔しそうな気がする……


クシュン、

くしゃみが出た。床暖房が入っているとはいえ、長時間、床に正座はツラい。足の痺れも限界だし、もう無理。

床についた両手に力を入れて立ち上がろうとするも、ふらついてしまい、床にへたりこむ。

藤井さんはその一部始終を見ているだけで、手を貸してくれない。

私がそのままの姿勢で見上げ、

「藤井さんが正座なんてさせるから…… 」と、恨みがましく訴えても、

「正座しろなんて言った覚えはないよ。君が勝手にしたことだよ。」と、素っ気ない。


仕方なく、掌で左右のふくらはぎを懸命に擦って、痺れが治まるように、ひたすら念じる。

何分かしてようやく痺れが取れてきて足を動かして確かめる。うん、大丈夫、動ける。

安堵して、思わず笑みがこぼれる。



「面倒くさいね、君は。」


「えっ?」


「面倒くさいって言ったの。」


「そう… です…か… ?」


「気づいてないの? 君、かなりめんどくさい。」


「は…い…。」しぶしぶ返事をして、藤井さんの次の言葉にぎょっとした。


「告白もどきの時、橘は君のことを何て言ったんだっけ? 教えて?」


やだ、なんでそこを突っ込むの?

藤井さんは、何を考えているの?


真意が読めない私は答えることを拒否した。

「言いたくないです。」


だって、私と橘のことだもん。

藤井さんに言う必要はないと思う。

と言うと格好が良いけれど、

かなり失礼な告白だったから、言えない、

というのが、本当のところ。


でも、藤井さんに、

「面倒くさいは言われただろう?」

と、ピンポイントを攻められ、目が泳ぐ。

「当たり、みたいだね。

それから何て言われたの?」










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ