表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕がお姫様!?  作者: ゼクスユイ
第1章 追究編
6/13

第5話 影武者は大変

 ユキは魔王討伐祝杯パーティにマリアの代わりに出ることなった。

 およそ1か月後に開催したのはユキを影武者として仕上げる時間が必要だったからだ。

 諸外国には勇者が自らの命を引き換えに魔王を討伐し、姫も心身ともに深手を負ったため1か月程度の休養が必要と説明している。

「これでどう見てもお姫様です」

 いつも僕の世話をしてくれるメイドのアルがドレスアップしてくれた。

(マリアと同じ身体なんだから、同じ服装をすればいい。緊張する必要はないはず)

 と思いながらも、ドレスアップ後の自分の姿を鏡で確認する。そこには普段見ているさばさばしているマリアではなく、一国のお姫様っぽい雰囲気を醸し出している女性がいる。

「これが……僕? いや、私??」

(こんなのマリアじゃない。似た誰かだ)

 と心の中で毒舌を吐いているユキであった。


 そして王様の長いスピーチが終えて、パーティが始まる。

 このパーティでユキが必要になったのはパーティに紛れて、暗殺者がマリアを狙うかもしれないからだ。ユキも強化スキルを使い、どのような状況でも対応しやすくしていた。マリアの戦闘能力がずば抜けているのは周知の事実だから、ユキが強化スキルを使ったところでそう簡単にばれることもない。

 そして、パーティには美しい女性たち端正な顔つきをした男性が数多くいた。

 ユキはとりあえず、マリアの評判を落とさないためにも、近くにいた女性たちと話しかけようとしたが、話のネタが思いつかない。所詮はこの世界に来てから1か月程度で持てるネタなど大したことがない。

 マリアなら「私をほめたたえよ!」とでもいうのだろうか? ユキがどうやって話を切り出していくか考えているときに

「マリア姫、お話よろしゅうて?」

 と声をかけられたため、声をした方を振り返ると綺麗なブロンズの髪をした女性がいた。

「構いませんが、貴方はどなたでしょうか?」

「これは自己紹介がおくれましたわ。私、アシロ王国の第2王女ドロシー・シルフォニアと申します」

アシロ王国、極寒の地で育ち生まれたことから精神力は高く、またそのような地で暮らすためには魔法が必要不可欠ということもあり、魔法に関しては様々な王国と比べてもトップクラスらしい。

(ここは謝った方が良いのだろうか? マリアなら知らなかったことを謝らないとは思うけど……

評判を落とすわけにもいかないよね。たとえ周りの評価がどん底だったとしても)

 ユキはその王国の第2王女の名前を知らなかったのはまずいと思い、素直に頭を下げ謝ることにした。

「これは申し訳ございません。以後は気を付けていただきます」

 その光景を見て、周りの人たちがざわめく。

(あのわがまま姫が頭を下げた!?)

(明日は槍でも降るのでは……!?)

(傲慢姫が頭を下げた暁には世界滅亡ですわ)

 周囲の人たちの評価は上のとおりである。

(一体、何かまずいことをしたのだろうか? やはりマリアみたいに謝らずに会話すべきだったか)

 と思うユキであった。

「私ごときに頭を下げなくてもかまいませんことよ。魔王討伐で忙しいご身分、外交のことを忘れていたのでしょう」

 しかもなぜかドロシーのフォローが入る始末。

 その後、ユキはドロシーからは最新の魔法技術について話を聞くことができた。こういったことに興味があるのは理系の性なのだろうか。グラフの読み取りなどは祐樹の世界と同じだったが、魔法のことはそこまで詳しくないため、専門用語など詳細なことについては後で調べるつもりである。

(あの暴慢姫が小難しいことを寝ずに聞いている!?)

(アリエナーイ!!)

(これは夢……夢よ!)

 相変わらず周りの評価はさんざんである。

 ユキがドロシーとの会話を終えた後、1人の男性が話しかけてくる。その男性は黒髪で当然のごとくイケメンだった。しかし、そこらのイケメンとは違い優雅な雰囲気を醸し出している。

「私はカメリア王国の第1王子、シューベルト・アーククラインと申します。マリア姫、一曲ダンスを踊ってもよろしいでしょうか」

 カメリア王国はカメリア大陸でも1番大きな国であり、海を渡る必要はあるものの商業が盛んということもあり、世界中から様々な物資が集まることで有名だ。

 ユキはシンデレラの本の存在を知った日から、この世界について知るにはカメリア王国に行く必要があると考えていた。そのため、カメリア王国とパイプができるのは非常に大きな一歩と言える。

(ダンスは……苦手だな)

 どこかの蟹ようなことを思いながらも、シューベルトと踊ることにした。たどたどしいながらも懸命に合わせようとするユキとそれをフォローしながら踊るシューベルトのダンスを見ていた人たちは……

(あのわがまま姫にシューベルト様を盗られるなんて!)

(エレガントではありませんわ!)

 特に女性客から嫉妬の目線を浴び続けるユキである。

 シューベルトとのダンスを終えた後も、何人かの男性と踊ることになったユキではあったが、暗殺者が現れることもなく、無事にパーティを終えることになった。


 その後、魔法で盗み聞きしていたマリアに

「あんなのは私のイメージではない!」と叱られ、

 パーティをいちから見ていた王様からは

「マリアもあれくらいのことをしてくれたらいいものを……

ユキがマリアであればどれだけ楽だったか」

 と真逆の意見を言われ、ユキは複雑な気持ちになっていた。そしてメイドのアルからは

「第2王女の名前を知らないとは何事です!これとこれと……あとこれも読んでもらいます」

 勉強量が2倍になるというプレゼントをもらうことになる。

各大陸の詳しい情勢についても書きました。

各国からはあの性格上マリアの評判はあまりよくありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ