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僕がお姫様!?  作者: ゼクスユイ
第1章 追究編
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第4話 初めての戦闘

 ユキはマリアに実戦練習だと言われ、平原に来ている。

 ユキたちは騎士のような鎧を身に着け、本物の剣を装備している。いつものあの二人の兵士も鎧を着て、ユキたちのお供として来ている。名前はアンドレイとセルゲイと言うらしい。

 王様がマリアに「ユキを連れまわすのはやめてほしい」と言っても「だが断る」とにべもなく断られる。

 王妃はマリアが幼いころに他界しており、アルベルト王が再婚していないため不在のままである。そのためマリアを叱る母親がおらず、わがままに育ってしまったのだろう。

(僕としては最低限、自分の身を守れたらいいんだけど……)

 というユキの心のつぶやきはマリアに届くわけもない。

 例え言ったとしてもマリアは

「何を言っている!私の妹ならこれくらいのことができる」

 とか言ってきそうだ。コーラを飲んだらげっぷをするくらい間違いない。

「ここには低級のモンスターしか現れないから、安心しても良いぞ」

「モンスターが現れるのに、どこが安心なんだ!」

 ユキはマリアの言葉に思わず突っ込んだ。

 モンスターは低級・中級・上級の3つのランクに分かれる。

 ドラクエとかでいうスライムなどの序盤で現れるモンスターが低級、さまよえる死体やトロールが中級、ドラゴンが上級に当たる。

 この世界には冒険者ギルドもあり、魔王が居なくても統率がとれなくなったモンスターを討伐するクエストが毎日のように出ている。ちなみにマリアは父親を説得してギルドに登録している。さすがは戦いが好きなわがまま姫といったところか。


 しばらくすると茂みから少し大きな兎に角が生えたモンスターが現れる。

「一角兎か。あれくらいならユキでも簡単に倒せるぞ」

 ユキは背中を押され、一角兎と対峙する。ユキは剣を抜き身を構える。

(まずは自分のスキルで身体を強化。自分の身体を隅々までイメージしろ!)

 一角兎はピョンピョン跳ねて、ユキに近づく。

(そして近づいてきた敵の動きをよく見て、相手の行動を予測する)

 一角兎は足に力をためて、勢いよく飛び鋭い角をユキの身体に向ける。この勢いで角が当たれば、ただでは済まないだろう。

 しかし、強化されたユキの目にはその動きは緩慢であった。

「そして一撃で仕留める!」

 一角兎は縦に真っ二つに切り裂かれる。こうしてユキの初戦闘はあっけなく終わる。


「やはり強化スキルは使いやすそうだな」

 この戦術は戦闘のプロでもあるマリアが教えてくれたものだ。

 強化スキルは一見地味だが、効力の割にはデメリットがほとんど存在しない。強いて言うなら使いすぎたら筋肉痛になりやすくなる程度だ。そしてユキの肉体は鍛えあげられたマリアの肉体なのだから、そこに強化スキルがあれば、あとは本人の気持ち次第で大体のモンスターは倒せる。

「でも、ミスをしたらと思うと……」

「その辺は実戦を積み重ねたら、気持ちも強くなるし、少しのことで慌てふためくことはない」

 不安そうにするユキに対し励ますマリア。


 その後、ユキたちは昼食をとることにした。

 ユキがメイドさんたちに頼み厨房を貸してもらい、作った料理だ。一人暮らしということもあり、それなりに料理をする機会があったため、ちょっとした料理ならできる自信があった。

『あった』、すなわち過去形だったのは見知らぬ食材しかなかったからだ。食材庫にはどのような生き物からとったかわからないような肉や卵、挙句の果てには見たこともないような植物がずらりと並んでおり、しかも吐き気を催すような色の魚まである。

 結局はメイドさんたちにどのような料理に使うのかを教えてもらいながらの料理となってしまった。

「おっ、この焼き魚はおいしいな。さすがは妹だ」

 マリアが食べているのはこんがりと焼けている見た目は普通の焼き魚だ。

(……その魚、焼く前はとんでもない色だったんだよね)

 この世界では自分が食べているものが調理前どんなものだったのかをよく知るのはあまり食ないのではと思い始めたユキであった。


 その後、ユキはスライムと戦うことになった。

(物理的攻撃は効きにくいから、魔法攻撃しかない)

「僕は威力がないけど、魔法制御は得意なんだ。ファイヤーネット」

 ユキがそういうと、スライムは火の網に捕えられる。ただそれだけだ。あとはスライムが蒸発するを待てばよかった。かなり地味な戦闘風景である。

 そのころのマリアはモンスターをバサバサと倒していた。

「妹が命名した私の必殺技!ストライク・エア!!」

 マリアが剣を振りかざすと巨大な竜巻が発生し、モンスターを吹き飛ばす。ユキがスライムを数体倒した後、城へと戻っていったユキたちであった。

 明日は各国の著名人が集まり、1か月遅れだが魔王討伐したことで祝うらしい。そして、その場でユキはマリアとしてふるまわなければならない。

ユキはどれだけ強くなっても積極的には戦うつもりはありません。

あくまでも無事に元の世界に戻ることがユキの最大の目標です。

なぜ、1か月遅れでパーティを開くのかは次回にて。

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