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僕がお姫様!?  作者: ゼクスユイ
第1章 追究編
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第3話 深まる謎

 ユキが目を覚ますと自分の横にはお姫様のマリアが眠っている。

「どうしてここに……?」

 ユキに与えられた部屋は当然のことながらマリアとは別の部屋だ。

 ユキの言葉が聞こえたのかマリアがゆっくりと起きあがる。

「妹と一緒に寝て何が悪い?」

 ユキはマリアに完全に妹扱いされていた。

 それにしてもと言いながらマリアがユキの髪や胸を弄り回す。ユキは女の子の身体に慣れてきたとはいえ、これまで女の子と付き合ったことがなかったこともあり、恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。

「何をしているんですか!?」

「胸も私と同じくらいのサイズなのはいい。だが髪が私よりもサラサラしているのはなぜだ!」

 ユキがこの世界に来てから数週間が経ち、ようやく書いている文字にも慣れたころである。あくまでも慣れただけであって、スラスラと読めるわけではないが。

 魔法もようやくマッチ程度の火はつき、剣術の方はマリアが言うには

「この腕なら雑魚モンスターなら狩れるぞ」

 という評価をもらった。もっともマリアの言う雑魚の範囲が広すぎて、どの程度の腕かははっきりしない。またユキはマリアと接する機会も多いため、大体の性格がつかめてきている。

(マリアさんの大雑把な性格からすると、きっとメイドさんから教えてもらったトリートメントとかそういうのしていないんだろうなぁ)

 と勝手に結論付ける。

「メイドさんの教えを守っているだけです」

「たったそれだけで……うらやましい」

 うらやましいも何も身体は同じなのだから、普段から真面目に手入れをすれば、マリアもサラサラヘアーを手に入れることができるはずだ。

 そしてユキのお腹から「ぐぅ~」という音が聞こえ、マリアは大爆笑し、ユキはさらに顔を真っ赤にしていた。お腹が減るのは万国共通のようだ。


朝食を食べた後、マリアに無理やり外へ出されるユキ。周りの兵士たちもやれやれといった表情で

「またわがまま姫のお供か」

 と言っていた。その本人は全く気にしていないようだが。

 マリアはユキの手を引っ張り、町の方へと歩く。当然のことながら、ユキたちは普段のドレス姿ではなく普通の服装だ。二人の兵士も同様に普段の服装で二人を警備している。万が一に備え、服の中にはナイフが隠されているらしい。兵士たちは小さな声で会話を続ける。

「影武者姫の方が可愛げがあるよな」

「だよな。むしろそっちの方が本物じゃね」

(おい、僕のことはともかくマリアを偽物扱いにして、そのことがマリアに聞こえたら訓練という名の拷問が待っているぞ。本人も少しは悩んでいるところなんだからな)

 ユキはこの兵士2人が拷問に合わないことを祈るばかりであった。

 翌日、ボロボロになった二人が訓練場で発見されたそうだ。それでも兵士をやめない二人はある意味で勇者である。


 ユキたちが町に着くとたくさんの出店が並んでおり、活気にあふれていた。

「おっ、この果物美味しそうだ。いくらだ?」

 年老いた行商人がならべている果物の内、マリアは真っ赤なリンゴのようなものを指さし値段を聞く。

「1ダラーだよ。お嬢ちゃん」

「なら2つもらおう」

 マリアは2ダラーを渡し、2つのリンゴ(?)を貰った。そしてマリアは1つのリンゴ(?)をユキに投げつけ、大きな口を開けて豪快にかぶりつく。

(この様子を見ているとお姫様とは思えないよね)

 心の中ではいくら失礼なことを言っても罰は当たらない。

 ユキはリンゴ(?)を口を小さく開けて少しかじりつく。味は梨のような果物であった。ユキは正式名称はあとで調べておくとして、とりあえず梨もどきとでも名付けておくかと心の中で決めた。

 梨もどきを食べ終えた二人は、道具屋によることにした。


 道具屋に入ると薬草だけでなく服や非常食といった様々なものが置いてあった。

(僕たちの世界で言うとスーパーのようなものか)

 と思っているとユキの目の前に一冊の古びた本が置かれていた。どうやら古本が置かれえているコーナーのようだ。そしてその本を見てユキは絶句した。

 その本のタイトルには『Cinderella』と書いてあったからだ。

(『Cinderella』、日本語で言うシンデレラのことだ。なんで僕の世界の本がここに……)

 ユキがその本を見ていたことに気づいたマリアは

「その本がほしいのか。いくらだ」

 その本を購入することにする。その後も様々な店を回っていたが、先ほど手に入れた本のことでいっぱいだったユキの頭には入ってこなかった。


 城に帰った後、ユキはさっそく『Cinderella』を読むことにした。

 英和辞典がないため細かい単語は分からず、文字も消えかかっているためすべてを知ることはできないが、大体のストーリーはユキがいた世界と同じである。

(文化も歴史も違うこの世界で全く同じ物語が作られるとは考えられない。猫がシェークスピアの劇を書くと同じくらい不可能だ。この世界と僕たちの世界には何らかのつながりがあるのか?)

 だが、ユキがいくら答えを探してもそれが見つかることはなかった。

果たして、祐樹の世界とマリアの世界はいかなるつながりがあるのか?

それはだいぶ後で明らかになる予定です。

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