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僕がお姫様!?  作者: ゼクスユイ
第1章 追究編
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第12話 Let's Shopping

 祐樹とマリアはこの世界で着るマリアの衣服と何日か分の食材を買うため、電車を乗って大型デパートに向かっている最中である。祐樹は電車の乗り方を知るはずがないマリアにイチから教えようとしたが、説明している途中でマリアがこの世界の文字を知らないことに気づき、今日はその説明を断念した。電車に乗りマリアが窓の外を見ると、

「おお!この乗り物、結構速いな」

とはしゃいだりする。その様子を見た祐樹はマリアにマナーが悪いと注意する。何人かの乗客はそのような反応をするマリアを珍しそうに少し見た後、自分が持っていた新聞紙や本を呼び始めたり、スマホを操作し始める。

 電車から降り、改札を出たところにある噴水前で少し待つと彩と健太がやってくる。彩は帽子をかぶり、ワンピースを着ていた。一方で健太はいつもの胸に大きなドクロの絵が描かれているTシャツとジーパンを着ていた。ちなみにマリアは彩からもらったTシャツを着ているが大きな胸が自己主張しているため、祐樹は目のやり場に困っている。

「祐樹、ちょっと待った?」

「いや、さっき来たところだよ」

 彩の言葉にすぐさま答える祐樹。

 そして祐樹たち4人は大型デパートに向かい、中に入っていく。デパートの中は休日のためか親子が数多く見受けれる。

「あのぬいぐるみが動いているぞ」

 マリアが指さしているのはおもちゃ売り場などではおなじみのサルがシンバルを叩いているやつだ。

「あれは電池、要はエネルギーを蓄えておく物体をあのおもちゃに入れて、そのエネルギーを使って動いているんだよ」

「電池のことがさっぱりわからん」

 かなりかみ砕いて説明したつもりだったが、マリアに伝えることはできなかったようだ。

「婦人服コーナーは男子が入ってきたら駄目だからね。特に健太」

「最後は余計だろう!まあ、女性服コーナーに入ったらダメだってことくらいは分かるから、俺たちはゲーセンで遊んでおくよ」

 健太は彩の言葉が正論であることは分かっているので、余計な反論はせずに祐樹と一緒にゲーセンで遊ぶことにした。


 健太たちはデパートの外にあるゲームセンターに行き、家庭用ゲームとしても売られている有名な格闘ゲームをしていた。祐樹は一番オーソドックスで有名なキャラを選ぶ。選んだキャラが蹴りやパンチを繰り出していく中で健太が話しかけてくる。

「家に帰ってから、最近何かおかしなことが起こっていないか色々と調べたんだ」

「何かあったのか?」

 祐樹が訪ねると健太は一呼吸おいてから話す。

「最近、猫がよく行方不明になっているらしいぜ!」

それと同時に祐樹の台にLOSEの文字が映し出される。

「………………」

 二人の間に長い沈黙が流れる。

 祐樹は席からゆっくりと立ち上がり、向かいの台にいる健太に近づいていく。

「僕は猫と同じ扱いか!?」

 と文句を言おうとすると、『New Challenger』の文字が健太がプレイしている台に映し出される。

「どんな奴だろうが、俺の敵じゃないぜ」

 と言い、健太は獲物に対しバグ技を利用したコンボのを浴びせようとするが寸でのところでかわされる。攻撃をかわされたことから相手の技量が自分と同じであることを認識した健太は真面目にキャラを動かしていきなんとか勝利を収める。悔しかったのか、対戦相手は連コインをし、再び健太に挑みかかる。連コインが何十回も続いたところで、健太の向かい側の台からドンと台を思いっきりたたいたような音が聞こえる。

「やべぇ、もしかして怒らせたか?」

「最初のバグ利用はともかくそれ以降は悪いことはしていないから大丈夫じゃない」

 そして向かい側の台から現れた黒髪で短髪の男性が健太たちに話しかける。

「俺が何回もこのゲームで負けるとは思っていなかったよ。できれば携帯の……えっ?」

 男性が健太たちを見た瞬間、少しうろたえる。

「「えっ? 近藤教授!?」」

 その男性は大学で祐樹たちに実験や講義をしている近藤(こんどう)久義(ひさよし)教授だった。実年齢が40台後半のはずだが、それよりも若く見え30台とよく間違えられる。また世界から認められるほど実績は高く、ノーベル賞候補として話題にあがってくるほどの持ち主である。しかも容姿も他の教授と比べればずっと良いので女子生徒から高い人気がある。

 その近藤教授がゲーマーだったことは学生の誰もが知ることはなかったため、祐樹たちはものすごく驚いていた。

「このことは誰にも話すなよ」

 近藤は祐樹たちに大学での自分のイメージを崩さないように自分がゲーマーであることを話さないように言うが、健太は図に乗る。

「今日は暑いですよね。こういう日はアイス食べたいなぁ」

「分かった。近くのコンビニでアイスくらいおごってやる。だから誰にも話すな」

 健太はラッキーと言い指を鳴らす。そして近くのコンビニで祐樹は60円のソーダ味のアイス、健太は200円越えの抹茶アイスを買ってもらった。近藤は二人がアイスを食べている様子を見て、

「これで取引成立だな」

 と言い、健太は約束事は守るよと答えながらアイスを食べ始めた。


 二人がアイスを食べ終えると、買い物袋を両手に持った彩とマリアがやってきた。

「近藤教授!? どうしてここに?」

「今日は暑いからアイスを食べたくなってね。コンビニに来たら二人と会ったんだ」

 彩は近藤の言い訳に納得する。近藤はマリアを見ると、彼女のことを尋ねる

「ところでそちらのお嬢ちゃんは? ここでは見かけない顔だが」

「私はマリアと言う。祐樹の家にホームステイしている」

 マリアは祐樹たちが万が一のために作った言い訳を近藤に言う。マリアはヨーロッパから祐樹の家にホームステイしており、来日前に日本語の勉強をしていたため日本語はある程度話せる。しかし、日が浅いため日本に慣れていないという少し苦しい言い訳だったが、近藤は少し考えた素振りをした後、

「武藤の家にホームステイか。そのような話は聞いたことがないが……

まあ、何か悩み事があれば俺に相談すると良い。俺はこの後用事があるからこの辺で失礼する」

 深く追求せずに立ち去っていく。その後、彩と健太と別れた祐樹は近所のスーパーで買い物をし、家へと帰った。

 このとき祐樹はまだ気づいていなかったが、男が一人暮らししている家に女物の下着や服が干されていることで近所のおばさんたちから

「あの子、もしかして彼女ができないからそういう趣味に」

「いやねぇ、彼女できたんじゃない」

「そういえば、綺麗な外国人の女の子があの子の家から出てたわよ」

「「ええっ~!?」」

 と色々な憶測が飛び交っている。祐樹はおばさんたち用の言い訳も考えなければならなくなり、色々と苦労するのであった。


 祐樹が外出前に干しておいた服を取り込んでいる間、マリアはさっそく彩と買ってきた下着と服に着替えてみた。胸のところが大きく開いており、マリアの豊満な胸をより一層強調させる。彩が言うには私には一生縁がない服らしい。

(下着を買う際にCとかDとかよく分からん言葉が飛び交っていたが……)

 さすがに日常生活に支障をきたすままなのはまずいと考えたマリアはこの世界の言葉について祐樹から少しでもこの世界のことについて知ろうと思う。今まで座学から逃げていたマリアが自分から勉強をしようとする光景をアルたちが見ていたら、きっと大いに喜んでいたのだろう。

 その一方で祐樹は男として色々と思うところはあったが、洗濯しておいた女物の服を今は使っていない両親のタンスの中にしまっていく。彩が言うには流行遅れだからいらないため、昨日持ってきた服はマリアにあげるそうだ。

(未来の世界で女物の服にはなれたはずなのになぁ……)

と思うと同時に今の身体でそれを言ったら変態だなと思うのであった。

 その後、夕飯の準備ができたので祐樹はマリアを呼ぶと服を着替えてきたマリアを見て、少しドキドキしながら夕飯を食べる。

「ひゃとでこの世界についておひぇてくれ」

「口の中に物をいれないまま話さないでね」

 祐樹はマリアの行儀の悪さをなんとかなおさないとなと思う。それが簡単にできたらアルたちが苦労しないのだが。祐樹は夕飯の片づけが終わったあとこの世界の事情について話すとマリアは少しガッカリしたような表情で言う。

「デュラハンやドラゴンはいないのか……」

「この世界では伝説や架空の生き物だから」

 マリアの言葉にしっかりと答える祐樹。その答えを聞いたマリアはふとした疑問を問う。

「私たちの世界が未来の世界ならドラゴンたちはどうやって生まれたんだ? それに人間以外にも人間の3倍以上の寿命を持つエルフやドワーフもいるぞ」

「そ……それは…………」

 祐樹はマリアの問いにすぐさま答えることができなかった。地球の歴史で生物が生まれたのは40億年前、人間が生まれたのが30万年前であることから、少なくとも1000年程度で新しい生命体が現れるかと聞かれたらNoと答えざるを得ないからだ。しかも2800年代の論文が比較的きれいな状態で残っていることから、何万年も経っているかすら怪しい。

「案外、深夜の紙芝居でやっていたパラレルなんとかの方があっているような気がするぞ」

「パラレルワールドか……言われてみればそっちの方が説得力はあるな……」

 マリアの世界=未来世界ではなくこの世界から分岐した平行世界だったのではないかという説の方がドラゴンの存在から考えれば正しいように聞こえる。

「パラレルか未来か……どっちにしても証拠がないよな。

ん? 紙芝居?? ああ、親父たちの部屋でテレビを見ていたのか」

 マリアがテレビを紙芝居と言っているのはテレビのことを『電気というエネルギーで動く紙芝居』と説明したためである。ちなみに携帯電話は『糸無し糸電話』、電球は『火を使わない灯り』である。

「シューベルトが見せてくれた演劇よりかは楽しかったぞ」

マリアの言葉に対して祐樹は

(あの海賊版●ズの魔法使いはあれはあれで面白いと思うんだけどなぁ)

と思っていた。深夜番組に負けたシューベルトが薦める劇団が哀れである。

すみません、投稿が遅れました。

大学のゼミが本格的に始まったので勉強に追われております。

11月中に報告会があるので11月中に投稿できるかは不明です。

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