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灼熱の夏  作者: KK
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2024年

夏の全国高等学校野球選手権大会。夏の甲子園とも呼ばれる大会が繰り広げられる阪神甲子園球場のバックネット裏の通路に斎藤隆一は手すりに手をついて試合を観戦していた。

大会4日目、第二試合。千葉県代表の初出場の公立高校と西東京の名前の知れた名門私立高校の試合。

スコアは七回表を終わり4対1で西東京の私立校がリードしていた。

50度にも達するといわれるピッチャーマウンドから公立校の投手がかけ降りてベンチの前に出来つつある輪の中へと向かう。

その中心に目当ての人物を斎藤は見つけた。

山本光輝。斎藤の高校の一塁手だった男だ。大学へ進み、教員免許を習得。日本史の教師として千葉の公立校に着任し、同時に野球部監督に就任。わずか5年で甲子園に導いた。

山本が甲子園に監督として出場する。そう三塁手だった松岡直也に聞いて甲子園に試合を見にきた。

斎藤は視線を三塁ベンチ前の山本から逸らし、投球練習をしている私立校の投手に移した。

大会屈指の本格派。その前評判に恥じぬ投球をここまで続けている。無駄な所がない美しいフォームから140キロ後半のストレート、切れ味鋭い変化球を巧みに投げ分けている。

この投手からあと二回で三点。勝つためには四点必要だぞ、と心の中で呟く。

再び三塁ベンチに視線を移すと、山本は円陣を解き、静かに戦局を見つめていた。

公立校の七番打者がストレートをとらえた。

金属音が鳴り響き、打球が三遊間を抜き、レフトへ転がっていく。

そうだ。最後まで諦めるな。夏はまだ終わってない。斎藤は彼らを十年前の自分達に重ねあわせていた。

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