残念な人
誤植ではありません・・・・!
「おい、遙!パン買ってこいや!」 私を呼ぶ声は、父のもの。まあ、いわゆるどんなシリアスな雰囲気も吹っ飛ばしてしまいそうな「残念な人」である。毎回、どこの番長だと突っ込みたくなる。 「アンタが行けや。」 ついつい、いつもの真面目人間なテンションを外してしまう。全く、人のテンションを狂わせる天災だ。 「遙テメー、親に逆らうか?」 どこの悪役だと言いたくなるのはいつものことだ。 「よーし、必殺技、超長楽々暗殺お助け拳だ!」 作者はとりあえずネーミングセンスを鍛えろ、といいたいところだが、あれはあれで色んな意味で強いので、侮るわけにはいかない。止めないと、目の前のテレビが壊れるのは目に見えている。 「テレビは私が守る!壊させはしない!」 テレビを守る正義の味方を私は聞いたことがない。そんな話があったらそれはそれで面白そうだが。自分に突っ込みを入れつつも、目の前の敵に意識を集中させる。 「おんどりゃああああ!」 どこかの漫画にありそうな叫び声を発し、私に父が向かってくる。普段は夜遅いので一種のスキンシップかとも思ってしまうが、そんなことを考えている余裕は無かった。 「う!痛ったあ・・・。」 「まだまだあ!」 とりあえず百発ほど殴っておいた。翌朝まで目を覚まさなかった。もちろん父が。