明かされた真実
それから先のことは覚えていない。ただ、ぼんやりしていく意識の中、遙の荒い呼吸だけが聞こえていた。遙に殴られたのか、それともあいつらが襲ってきたのかさえ分からない。気がついたら自分の部屋にいた。家に帰るまでの記憶はない。僕は無意識に起き上がり、眠っているまま帰ってきたのだろうか。だとしたら夢遊病の患者だ。前にテレビで寝ているまま料理を作ることが出来る人が取り上げられていたが、同じようなものだろうか。 「おい、慎玖朗。お前にはもう家族はいないぞ。両親は既に死んだ。妹も死んだ。お前、これからどうするんだ。」 僕が気がつくと、またあの声が聞こえてきた。 「僕の道は僕が決める。お前は口出しするな。」 「おーおー、かっこいいねえ。名言だねえ。じゃ、かっこいいこと言ってくれたお礼に、俺の正体明かしてやるよ。」 「勿体ぶらずにさっさと言え。」 「俺の名前ねえ、心野耀介。ま、じっくりどういう意味か考えてみることだな。お前は俺に勝ったから、俺は出て行かなきゃな。」 「・・・心の妖怪、だろ?」 「お?あらー、ばれちまった。俺の正体見抜いたら、俺の一族の他のやつらも、お前には憑けなくなっちまったな。ま、いいや。お前には3つだけ教えてやるぜ。1つ、多分これから、お前ら人間も、妖怪たちの大戦争に巻き込まれるぜ。予言だけどな。2つ、俺にお前がもし負けてたらな、俺はお前を乗っ取る腹積もりだったんだぜ。俺たちはそうやって人間から力を得てきたからな。3つ、日下遙はな・・・人間じゃねえんだよ。3つ終わったな。じゃあ俺は帰る。また会おうや、菅原慎玖朗。」 僕の中から声が聞こえなくなった。だけど、僕はしばらく呆然としていた。 「遙は・・・人間じゃ、ない?」 確かにおかしい。遙が人間なら、何故捕らわれていた? 「それに・・・僕は人間だ。あの力は何だったんだ?政也を殺すとき、一瞬とんでもないものが自分の中に入ってきた気がした。僕は・・・僕は・・・。」 僕は、何故ここにいる?僕は一体何者だ?