絶望
僕は生まれ変わったのだ。今までの弱い自分を捨てた。政也は殺した。だけど遙は見つからなかった。遙はどこへ行ったのだろう。 「遙がいない。手遅れだったんじゃないのか?」 「・・・お前、一体何なんだ。さっきまでの僕から、僕を追い詰めるようなことばかり言いやがって。」 「安心しろよ。心配せずとも、遙は生きている。ほら、出てきたぞ。」 遙が、どうしても開かなかった部屋から出てきた。ぼろぼろの身体だった。 「慎玖朗・・・?あ、あいつは・・・?」 あいつ、というのはおそらく政也のことだろう。 「・・・もうこの世にいないよ。」 僕が答えると、遙は驚いたような表情を見せた。だけど、それはすぐに消えた。 「そう・・・若菜、ちゃんは・・・?」 遙の質問に、僕はすぐに答えることが出来なかった。僕はうつむいた。 「え・・・答えてよ・・・慎玖朗・・・若菜ちゃんは・・・まさか・・・若菜ちゃんは・・・。」 「・・・ごめん。若菜は・・・・・・死んだ。」 「え?何ていったの?もう一度・・・もぅ・・一度・・・言って・・・よ・・・。もう一度言ってよ・・・!慎玖朗・・・。」 「若菜は死んだんだよ。」 僕はしっかりと言った。 「若菜ちゃんは・・・嘘でしょ・・・?嘘って・・・言ってよ・・・!」 遙が語調を荒くする。だけど僕は首を振った。