始まりの炎
私は人間と竜の混血の一族。だが、人間を襲えるほどの力はない。なのに、私は今、なぜか人間らしき者たちに取り囲まれている。もちろん、理由は分からない。恨まれるようなことをした覚えはない。 「あんた達、誰?」 「答えが欲しいか?」 「ええ、もちろん。」 「ヒントだけ教えておいてやる。我らは、"陰"の者だ。お前が、"陽"ならな。」 「陰?陽?なんのこと?」 だが、これには答えてくれず、私を取り囲んでいた者たちは、風と共に去っていった。私はしばし呆然としていたが、やることを思い出し、ようやく翼を出し、飛び立った。 空はいいものだ。変わらない景色が広がる。いつも同じ蒼がそこにある。私は蒼が好きなので、好きなものに囲まれる。志高の時間だ。