3. 学校生活の再挑戦
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#### **3. 学校生活の再挑戦**
タイムマシンで50年前に戻った片山義則は、まず自分自身の学び直しの戦略を練った。60年分の知識と経験をフル活用すれば、今度は小学校から高校まで、支援学級に頼ることなく普通クラスで問題なく学べるはずだった。義則の心の中には、かつて味わった劣等感や孤独の記憶が鮮明に残っていた。しかし、同時に「もう二度と同じ失敗は繰り返さない」という強い意志も宿っていた。
まず小学校の教室では、義則は落ち着いて授業を受けた。かつては読解や計算に時間がかかり、周囲の助けを借りるしかなかった単純な問題も、今の彼には朝飯前のように感じられた。黒板に書かれた文章を瞬時に理解し、計算問題も一目で解答が浮かぶ。周囲の児童が戸惑う箇所も、義則は手を挙げて正確に答えを示すことができた。教師の目には、自然に「学習に意欲的で理解の早い児童」と映り、支援学級に配属されることなど、もはや頭をよぎる余地もなかった。
授業だけではない。義則はこれまでの人生で学んだ「小さなトラブルの予測能力」を活かし、日常生活でもリスク管理を徹底した。休み時間に友人関係で生じやすい誤解や衝突も、事前に状況をシミュレーションして回避した。たとえば、遊びの順番や役割分担、グループ内での発言のタイミングまで、頭の中で先に計算して行動する。以前なら些細なことで孤立したり、感情に流されて失敗していた場面も、今は自然に笑顔で立ち回ることができる。
友人作りも順調だった。義則は、自分から積極的に声をかけ、相手の趣味や性格を記憶して適切に合わせることで、自然な友情を築くことができた。かつて孤独だった日々とは異なり、クラスメイトとの会話や遊びは楽しい時間に変わり、義則は少しずつ「居場所」を実感できるようになった。周囲の児童たちも、義則の知的な対応力と穏やかな性格に好感を持ち、彼の存在は教室に溶け込んでいった。
義則は学習面でも戦略的に取り組んだ。先取り学習を行い、翌週の授業内容を事前に予習することで、授業中に理解できないことはほとんどなくなった。苦手科目だった算数や国語も、60年分の知識を活かせば応用問題に対しても余裕で対応できる。小学校時代に蓄積した自信は、中学校、高校と進むにつれてさらに拡大していった。授業中に分からない箇所はすぐに補習や自主学習で補強し、成績は安定して高水準を維持した。
中学校に進学すると、義則の能力はさらに光を放った。クラスメイトの多くが新しい知識を習得するのに苦労する中、義則は既に先取り学習で周囲を凌駕していた。授業中の質問にも余裕で答え、教師からも積極的に指名される存在となった。これまで人間関係に苦しんだ経験も生かし、グループ学習や部活動においても協調性を持ちながら適切なリーダーシップを発揮することができた。
部活動では、体育や運動能力も全能力×14薬の効果によって飛躍的に向上しており、以前なら周囲に遅れを取っていた場面でも活躍できる。陸上競技や球技、体操など、さまざまなスポーツで優秀な成績を収め、教師や先輩からも認められる存在となった。学業と運動の両立に成功した義則は、自分の心身の成長を強く実感する。
高校時代になると、義則は完全に「普通の優等生」として周囲に溶け込み、支援学級の存在などまったく問題にならなかった。授業内容は全て理解し、応用問題も難なく解く。友人関係も安定しており、恋愛の経験や社交的な活動も自然に行える。かつての孤独な青年期とはまったく異なる、充実した日常が広がった。学年末の成績表には常に高得点が並び、義則は将来の進路や職業選択の自由度を格段に広げることができた。
学業だけでなく、義則は人生の選択肢を戦略的に広げることも意識した。高校卒業後に進む大学や専門学校、就職先、趣味や恋愛関係に至るまで、60年分の知識と経験に基づいて計画を立てる。過去の失敗を繰り返すことなく、自分にとって最も有利な道を選択できるのだという自信が、彼の心に揺るぎない確信を与えた。
こうして、片山義則は二回目の人生において、小学校から高校までの学校生活を平凡どころか、むしろ戦略的かつ充実した日々として過ごすことに成功した。学力は安定して高水準を保ち、友人関係も自然に構築され、将来の選択肢は一回目の人生とは比較にならないほど広がった。義則は、自分の行動と知識が組み合わさったとき、人生がどれほど変わるかを実感し、胸の中にかつてない達成感と希望を抱いたのである。
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