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5. 20歳:副作用と異世界転移


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#### **5. 20歳:副作用と異世界転移**


片山義則が二回目の人生における青年期を過ごしていた頃、彼の体には微妙な変化が現れ始めていた。全能力×14薬やタイムマシンの副作用が、時間をかけて徐々に体に影響を与えていたのである。最初は小さな頭痛やめまい程度であったが、次第に眠気や集中力の低下、微細な感覚の錯覚などが日常生活に現れるようになった。義則は科学的な知識と冷静な観察力を駆使して、自分の体調の変化を記録した。どの症状も予測範囲内の副作用と考えられたが、未知の要素が含まれることは否定できなかった。


ある日の夜、義則は机に向かい、日課としていた未来の計画を整理していた。その時、突如として体の奥から強烈な光と振動が走った。頭の中で鈍い轟音が響き、視界が白く眩しく光り始める。義則は思わず目を閉じ、体を強く抱きしめた。心の中で冷静に分析する。「これは……タイムマシンの副作用か? それとも、全能力×14薬の作用か?」


瞬間、世界は一瞬で変わった。目を開けると、そこは見慣れた現実世界ではなく、奇妙な光景が広がっていた。空は淡い紫色に輝き、地平線には巨大な山脈が連なっている。見慣れない植物が生い茂り、地面は柔らかく光を反射していた。空気は乾燥しているが、どこか甘い香りを含んでいる。義則は瞬間的に状況を把握した。


「……異世界だ……」


この瞬間、義則の心に恐怖と興奮が同時に訪れた。60年の人生経験と、二回目の学校生活で培った知識はある。しかし、この世界はまったく未知であり、彼の理論や経験がそのまま通用する保証はない。だが、義則は冷静さを失わなかった。知識と観察力、戦略的思考はどこでも活用できる。自分が持つ唯一の武器、それは思考と判断力だ。


義則はまず、自分のステータスを確認した。体感的に能力値を整理すると、初期状態として次の条件が与えられていることに気づく。


* **スキル**:剣術3段、柔道3段

* **資金**:金貨3枚

* **装備**:初心者用セット(剣、防具、最低限の生活用品)


「金もない、装備も乏しい……でも、スキルと知識はある」


義則は心の中で自己分析を行った。剣術と柔道の技能は、現実世界で培った体力や反射神経、全能力×14薬による強化の影響で確実に発揮できる。金貨3枚は生活の足しにはなるが、街での物価や初期の食料には十分ではない。装備も初心者向けに限られており、戦闘や移動には最低限の耐久力しか期待できない。すべてが制約された状態だが、義則はむしろそれを「面白い挑戦」と捉えた。


まずは周囲の探索を始める。目の前には森が広がり、小川のせせらぎが聞こえる。義則は環境を観察し、食料源や水場、隠れ場所を確認した。これまでの人生で培った自然観察力、戦略的判断力が即座に活用される場面だった。岩の形や木の枝の配置、地面の柔らかさや足跡の方向――些細な情報も逃さず読み取る。義則は、異世界におけるサバイバルの第一歩を、冷静かつ慎重に踏み出した。


次に、義則は自分の能力を実際に試すことにした。森の中で小型の野生動物を狩る場面に出くわす。剣術3段と柔道3段のスキルを組み合わせ、相手の動きを読み、最小限の力で制圧することに成功した。自分の体力や反射神経の向上も実感でき、初心者装備でも十分に対応可能であることを確認できた。義則の中で、危機管理能力と実戦スキルの自信が芽生える瞬間だった。


夜になると、義則は簡易の野営地を作り、少ない資源で火を起こし、周囲の環境から食材を確保した。金貨はまだ消費せず、できるだけ長く持たせることを計画する。彼は異世界の経済や文化を推測しつつ、次の行動計画を練る。どの町に向かうか、どのクエストから着手するか、どのスキルを優先的に活かすか――すべてが戦略として頭の中に整理される。


義則の心の中には、恐怖よりも好奇心と挑戦心が強く芽生えていた。「未知の世界での生活か……。金も装備も最小限。でも、知識と経験、そしてスキルはある。やり方次第で何だってできる」――この自信が、彼を未知の世界での冒険者として押し出す原動力となった。


異世界での初日が終わるころ、義則は星空を見上げながら深呼吸した。目の前に広がるのは無限の可能性の世界であり、これまでの人生では味わえなかった自由がそこにはあった。制約はあるが、知識と戦略があれば乗り越えられる。義則は決意した。「ここからが、本当の冒険の始まりだ」と。


こうして、片山義則の二回目の人生は、異世界での新たな冒険者として幕を開けた。初期状態は貧弱に見えるが、経験と知識を武器に、未知の世界を切り開いていく――20歳でのこの転換点は、彼にとって人生史上最大の挑戦であり、同時に最も自由な瞬間でもあった。


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