第四十二話 それぞれの公約
絶対に、流れをこっちに寄せる。
(宮浦)「第50期後期生徒会会長に立候補させていただきました、宮浦颯真です。
私は、第49期も生徒会の一員として当選をさせていただきました。そこで私は気付きました。
あの校則改正されて欲しいなとか、このルールがなかったらもっと楽しく過ごせるのに……などそんな声を反映させるのも大事です。
が、校則が残念ながら改正出来なかった。そういう場合はどうしたら良いでしょうか?楽しい学校生活を諦める?いいえ、他に楽しむ方法を事前に行動すれば良いのです。
つまり、皆さんが平等に楽しめる企画を用意し、開催すれば良いのです。
過去の事例を見てみると、球技大会などが行われていたようです。しかし、球技が苦手な人もいるでしょう。そのため、クイズ大会やカルタ大会など、屋内外問わず出来る企画を作っていきます。学校生活が楽しかったで終わらせるためにも、清き一票をよろしくお願いします」
「「「「「「パチパチ」」」」」」
会場がざわついた。
(選管)「えー、次に2年5組浦沢美玖さんよろしくお願いします」
(浦沢)「えー……第50期後期生徒会会長に立候補させていただきました、浦沢美玖です。私は、この学校を良くしていきます。そのために、意見箱の設置が大事だと思います。意見箱を設置することで、皆さん一人一人の意見が直接、生徒会に届くようにすれば、もっとより良い学校になっていくと思っています。清き一票をよろしくお願いします」
「「「「「「パチパチ」」」」」」
会場には、拍手の音しか響かなかった。
(選管)「次から副会長候補に入ります。まず、2年6組の井ケ田羽矢さん、よろしくお願いします」
(井ケ田)「皆さんこんにちは!!えー、私はこの学校を変えたい!!そのためにはどうするか、それは……学校の行事をもっと楽しく、大幅に増やすことです!!今の行事は文化祭、体育祭のみです。またその文化祭や体育祭も、制限が多く、例年通りの種目など、変化がありません。そのため、1年の初めにアンケートを取り、種目をアンケート順に採用していき、文化祭においても、日程大幅増などの校則を作っていきたいと思います。皆さんの清き一票をよろしくお願いします!!」
「「「「「「パチパチ」」」」」」
会場の空気は、すでに決まっているかのようだった。
(選管)「えー、次に2年3組松原つむぎさん、よろしくお願いします」
椅子を引く音が、やけに大きかった。
…………
(宮浦)「(大丈夫かな……)」
(真辺)「(頑張って)」
(松原)「私は…………皆さんの声を、形にしていきます。そのためには、意見箱の設置が急務です。
私は、声の大きい人の意見だけじゃなくて、“声を出せない人の意見”も拾いたいんです。
もちろん、声が大きい人が悪いとは思いません。
しかし、伝えたくても、事情があって伝えられない人もいます。
さっきの宮浦さんが言っていた、色々な企画もそうです。私は意見箱設置という側面から、全員が楽しめる企画作りに貢献しています。
また日常生活においても、その意見箱を使い、校則の見直しなどに活用していこうと考えています。皆さんの……清き一票をよろしくお願いします」
「「「「「「パチパチ」」」」」」
「おー」
小さかった。
でも、さっきよりずっと違っていた。
会計候補の田辺や、書記候補の高橋日奈の演説はスムーズに進んだ。
そして、会場では開票作業に入っていた。
(選管)「これから、開票作業に入ります。結果が出るまで少々お待ちください」
会場がざわつく。候補者たちは静かに待っていた。
(伝わってるかな……)
(緊張で押しつぶされそう……)
(誰か助けて……誰か……)
(宮浦)「(良かったで)」
(松原)「(…………ありがとう)」
(選管)「えー、選挙結果が出ましたので、ご報告いたします」
全員が、前を向く。
会場が、静かになっていく。
(選管)「詳しい票数は、各教室のプリントに書いてあります。結果は……」
心臓の音だけが、やけに大きい。
(選管)「会長は宮浦颯真さん……
副会長は松原つむぎさん……
会計・書記はどちらも信任されました」
「「「「「「パチパチ」」」」」」
拍手が、一斉にこちらへ向いた。
(選管)「では、順番に退場の指示をします――」
(真辺)「お疲れ〜。つむぎちゃん、めちゃくちゃ良かったで!!」
(松原)「あ……ありがとうございます」
(真辺)「田辺は……一切緊張してなかったな(笑)」
(田辺)「用意はしてたんで(笑)」
(真辺)「颯真は……なんか颯真らしくて良かった」
(宮浦)「それは、褒めてるんですか(笑)」
(松原)「すみません。お手洗い行ってきます」
誰にも見られないように、俯いたまま、去っていった。
(やった……ちゃんと伝わったんだ……)
(泣きそう……ただの選挙なのに……)
(これでまた、颯真くんと生徒会出来るんだ……)
(絶対に私が支える)
――体育館
(田中先生)「いやー、当選おめでとう」
「「「ありがとうございます」」」
(田中先生)「真辺も、受験勉強とか忙しいのにありがとうな」
(真辺)「ちょっと考えただけやけどね」
(宮浦)「前期は今日中に集まってましたけど、今回もですか?」
(田中先生)「あっそうそう、それを伝えに来てん。3人ともどうしたい?」
(宮浦)「俺はなんでも……どうせテストは終わったんで」
(田辺)「僕も同意見です」
(高橋)「私もなんでも大丈夫です」
(田中先生)「うーん……じゃあ今日中に集まっちゃうか」
「「「はい」」」
(田中先生)「あれ?松原は?」
(高橋)「お手洗いに行ってましたよ」
(田中先生)「あっ、オッケー……じゃあ誰か松原にも伝えといてくれん?」
(宮浦)「あっ……じゃあ伝えときます。同じクラスですし」
(田中先生)「了解。じゃあ各々クラスに荷物だけ取りに行って、生徒会室に来て」
(高橋)「皆さん、よろしくお願いします」
生徒会室に集まった第50期前期生徒会は、ひと通り自己紹介を終え、今期の仕事を確認していた。
(田中先生)「――で、終わりって感じかな。あとは、皆の公約実現ぐらい。主な公約って、意見箱と生徒会企画やったけ?」
「「「「はい」」」」
(田中先生)「そこら辺は、皆に任せるわ。実際するってなったら手続きとか調整とかがあるから、教えて欲しいけど………………そろそろいい時間やな、今日はこれで解散でええで」
「「「「ありがとうございました」」」」
田辺と高橋は部活へ、宮浦と松原は公約に関して話し合うため、少し残っていた。
(宮浦)「……ありがとう」




