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明坂高校生徒会はこんなもんやで!  作者: 綿ダッコ
〜夏の過ごし方〜
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第十四話 宮浦の性《さが》

 学校に着いた宮浦は、そのまま生徒会室へ向かっていた。

夏休みの校舎は静寂に包まれており、宮浦はその非日常感に少しワクワクしていたが、誘う件のことを思い出すと、生徒会でいつもしていた顔に戻そうとした。

だが、忘れてしまった。

そうこうしているうちに、生徒会室に着いた宮浦は、中に複数の人影がいることに気付いた。

宮浦は、小学生の頃に5分前行動を褒められた後から、10分前行動、15分前行動と、どんどん早く集合するようになった。今回も例外ではなく、30分前行動をしていた。

そのため宮浦は、そこにいる人影が生徒会メンバーでないと予測した。

案の定、その人影は生徒会メンバーのものではなく、文芸部員の人影であった。

中に入ろうか迷った宮浦は、「生徒会室やしええやろ」と半ば諦めのような感じに納得をしてから、生徒会室に入っていった。

 

(岡本蒼)「あっ、颯真やん」

 

岡本蒼おかもとあおいは、宮浦と1年生の頃に一緒にクラスとなり、校外学習で同じ班になったことを期に仲良くなった。

同じ地域の出身ということもあり、時々一緒に登校する仲である。


(松永悠生)「借りてんで」


松永悠生まつながゆうせいは、岡本蒼と同じく、宮浦と1年生の頃にクラスが一緒であった。

この学校では、入学・進級後の最初の席は名前(苗字)順で固定のため、たまたま近くの席になったことで仲良くなった。

普段口数は少ないが、信頼する人物にはよく喋る人である。


(森田穂乃果)「生徒会で来たん?」


森田穂乃果もりたほのかは、現在、宮浦・松原と同じクラスであり、自分と共通する趣味を持っている人にはガツガツ接する人物であり、どこからか仕入れた情報から、宮浦も共通する趣味を持っていることを知った穂乃果は、進級後に接し今に至る。


(宮浦)「文化祭のやつ?」

(森田)「そうやねん。全生徒分のしおりやから生徒会室のコピー機の方が優秀かなって思って」

(宮浦)「まさかやとは思うけど生徒会室に置きっぱはないよ……な?」

(岡本)「流石にそんなことはせんよ(笑)」

(宮浦)「流石にな(笑)」

(松永)「颯真、運ぶの手伝ってくれん?」

(宮浦)「時間あるから全然ええけど」

(岡本)「ええの?生徒会で来たんちゃうん?」

(宮浦)「まぁそうなんやけど、早く来てるからさ」

(森田)「何時集合なん?」

(宮浦)「えっ……と、9時半」

(森田)「えっ!?まだ9時前ぐらいやで!?」

(宮浦)「まぁそうなんやけど、何があるか分からんやん?」

(森田)「それは……そうなんやけどさ」

(岡本)「颯真の行動は早いもんな」

(宮浦)「おかげで寝坊しても間に合うようにできてる(笑)」

 

そんな雑談もそこそこに、印刷が終わった。

 

(岡本)「やっぱ、生徒会室のやつは速いな」

(宮浦)「確かによく見るやつとは全然スピードちゃうよな」

(森田)「それ業務用らしいで」

(男子)「そうなん!?」


その場にいた男子は、生徒会室にあるコピー機が業務用であることを知らなかったようで、大袈裟とも取れるほどに驚いていた。


(岡本)「いや、颯真は知っとけよ」

(宮浦)「だってこれが普通やと思ってたもん……というか、良く使ってる文芸部に所属してるお前が言うな」

(岡本)「ナゼソレヲ……」


若干棒読み気味プラス、どこかアニメ風に言う蒼に宮浦は、無のような口調で、「どこぞの悪役か」とツッコむ。


(宮浦)「というか……とぼけ方下手すぎん?」

(岡本)「それが一番傷つくんだが?」

(宮浦)「分かって言ってるが?」

(岡本)「ヒドイ」


と、声になっているのかなっていないのかよく分からない声でツッコむ。

「はいはい、男子たちはちゃっちゃっと運ぶ」そんな会話を遮るように穂乃果が号令をかける。


(岡本)「どこぞの女王様ですか?」

(森田)「部長やから実質女王みたいなもんじゃん」

(宮浦)「それやと生徒会長の俺はどうなるんや……」


と、冗談十割でツッコむ。


(森田)「うーん……マスコットってなとこ?」

(宮浦)「いや立場逆やろがい」

(松永)「(意外といいかも)」


そうツッコみつつも、誰にも聞こえない程の小声で悠生は呟いた。

しかし、近くにいた宮浦は聞き逃がせなかった。

友達のちょっと触れてはいけない領域に踏み込んだ気がした。

(あっ、そっちなんだね)

そう思ったが、そう出かかった言葉を悠生の名誉を守るために引っ込めた。

 そんな雑談に花を咲かせながら、いざ運ぼうと紙の束に手を伸ばした、その時……

扉が開く音がした。

宮浦たちの視線が扉の方に集中する。

その先に居たのは、生徒会メンバーの真辺と松原であった。

宮浦はすっかり生徒会の仕事で来たことを忘れており、時計を見てみると、9時15分を指していた。

どうやら、結構な時間を雑談に費やしていたらしい。


(宮浦)「やべ、めちゃくちゃ雑談しとったやん」

(森田)「ほんまやん、ちゃっちゃっと運ぼ」

(岡本)「そういう女王様は運ばないんですね……」

(森田)「おーほっほ」

(宮浦)「そのキャラで行くんかい……ちょっと手伝ってきます」

(真辺)「はいよー」


誰が来てもお構いなしに女王様キャラを貫く穂乃果に、若干引き気味にツッコむ宮浦であった。


(森田)「……あれよね、今の生徒会ってクセ強くない?」

(宮浦)「そう?」


突拍子もないことを言う穂乃果に少し疑問を抱きつつ、否定する。


(森田)「いやだってさ、アニメの世界で例えると、真辺先輩は風紀委員長系で、松原さんはお嬢様キャラ、田辺くんはドジやけど実は天才パターンで、颯真は……モブみたいな感じやん」

(宮浦)「いや、それアニメの世界だけやん!!というか、モブが生徒会長やってるってどういうこと?……まあ大体合ってるけども」

(森田)「いやモブなことは否定せんのかい!」

(宮浦)「いやまぁ、俺に主人公は無理やて」

(岡本)「……そういう本音は?」

(宮浦)「いや本音もなにも、俺に主人公は無理に決まっとるやろ。他の人が主人公の方がヒロイン幸せにできるやろ……」


そんな自分で発した言葉に、自分自身に対する否定が混じっていることは宮浦も理解していた。

しかし、つむぎを思う気持ちも本当である。

「自分には適性がない」、「自分は裏方で十分」、そんなネガティブな感情を抱え、その後にまた「自己否定ばっかり……」、「親に申し訳ない」そんなことを考え、最初に戻る。

そんな負のスパイラルに、少しの光を浴びせてくれたのは紛れもなく、松原つむぎであった。


――2年前――

俺は、高校受験で力尽きた。

ただただ疲れたのだ。努力することに。

自分でも思う。

どうしてそこで諦めてしまったのか……

どうして自分を信用できなかったのか……

というのも、元々俺は勉強が出来ない子であった。

小学校では、字は汚く、計算も人より時間がかかる。

そんな子であった。

字が汚いのは成長するにつれ綺麗になっていったが、算数、英語だけは好きになれなかった。

母や父はそれを許してくれたが、俺自身が納得いっていなかった。

もちろん、それを是正することは可能であった。

是正するためには根気がいる、続けれる理由がいる。

しかし、俺にはそんな根気も、続けれる理由なんて無かった。

だから逃げた。楽な方へ。

大好きな社会や理科は大真面目に受け、自分から積極的に学びにいった。読書もし、自然に国語もその2教科と同じくらい出来るようなった。

しかし、算数、英語だけはどうしても無理だった。

端から頭に入らないのだ。

言い訳なのくらい分かっている。だが、それを気にしないようにしてしまった。自分が一番悔しいのに……

そうこうしている内に中学生になった。

中学では算数は数学へ変わったが、基礎が抜け落ちているに等しい俺は、もちろん数学が嫌いだし、成績が良いわけがない。英語も同様だ。

しかし、中学校は小学校とは違い、現実が突き尽きられる。

――そう高校受験だ。

俺は、中学受験をしていない、兄もいないということから受験というものの大変さ、キツさが分からなかった。

親や先生が説明はしてくれるが、それを俺は適当に流してしまった。思春期全盛期だったということもあるだろう。

しかし中学2年生の冬、残酷にも自分の現実を直視した。

模試で明坂高校が最低評価だった。

明坂高校が第一志望だった俺にとっては、もはやその場で発狂したいぐらい最悪なことであった。

そこで少しの抵抗はあったが、親に「塾の日を増やして欲しい」、「家では勉強を手伝って欲しい」と願い出た。

親は快諾してくれた。

「その期待に応えたい」、「明坂高校に入学したい」そんな思いを原動力になんとか明坂高校に入学した。

高校で友達0人は流石にしんどいだろうと思い、無気力な自分をなんとか最後の力で振るい立たせ、蒼と仲良くなった。

そこまでは良かった。

しかし、勉学はどうだろう。高校受験の原動力はもう果たされた。……親の期待に応えたいというのは今でもあるが。

しかし、それ以上に達成感と原動力をの一部失ったのはデカかった。

何事にもやる気が出ず、中学の頃に部活でしていたテニス部にも入らず、一応授業は真面目に受けてはいたが、右から左へ流れるだけ。

もちろん、成績が振るうはずがなく、高校初めてのテストでは赤点は回避したが、実質赤点みたいなもの。

流石にその時は落ち込んだ。

「なぜこんな事に……」

「努力しないと……でもどうやってしてたっけ……」

そんな風に思いながらトボトボ帰宅しようとすると、ふと目に入った。

――ひたすら教室で勉強していた松原つむぎを

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