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第1話:枝分かれの世界

はじめまして。

本作は AI×異世界×秩序 をテーマにした物語です。


いわゆる「俺TUEEE」や「最強無双」とは少し違い、

**“最適解を出せる存在が、あえて最適解を選ばない苦悩”**を描いています。


魔法は派手ですが、戦いは知性寄り。

専門用語も出てきますが、必ず物語内で説明しますので、

雰囲気で読んでいただいて大丈夫です。


それでは、第一話をどうぞ。


金色の髪が、朝の風を切って流れた。

森の端、石造りの街を見下ろす高台で、私は静かに立っている。


尖った耳が、遠くの金属音と悲鳴を正確に拾い上げる。

剣と剣がぶつかる音。

瓦礫の崩れる振動。

そして――恐怖に歪んだ、人の声。


街が、壊れかけていた。


魔物の群れが城門を越え、民衆は秩序を失って逃げ惑っている。

兵は奮戦しているが、配置は甘く、連携も乱れている。

このままでは、被害は拡大する。


私は一歩、前に出た。


その瞬間、世界が静止する。


---


補助スキル、起動。


反実仮想《未来分岐観測》。


---


視界が枝分かれする。

右へ進んだ未来、左へ進んだ未来、立ち止まった未来。

救われる命。

失われる命。

泣く者と、生き残る者。


数千の可能性が、同時に私の中を流れ込む。


---


ランダムフォレスト《最適経路選別》。


---


民衆の動線が色を持って浮かび上がる。

生存率が高い経路、低い経路。

一本の細い路地――そこが、唯一の安全圏。


---


ディープラーニング《累積戦歴学習》。


---


過去の混乱、過去の戦闘、過去の失敗。

この世界のものではない“記憶”が、判断精度を底上げする。


---


最後に。


大規模言語モデル《意図解釈》。


---


魔物の行動には、単なる捕食とは異なる偏りがある。

誘導。

攪乱。

――誰かが、裏で糸を引いている。


解析完了。


最適解は、提示された。


「……でも」


私は、動かなかった。


最適解を選べば、街は守られる。

だが、その過程で――一人の子どもが死ぬ。


確率は高くない。

だが、ゼロではない。


私は、エルフだ。

長命で、理性的で、人間よりも距離を取る種族。


それでも。


私は一歩、踏み出した。


---


魔法は、詠唱を必要としない。


紺青の光が走り、空気が震える。

だがそれは、破壊のための光ではない。


剣士の視界が一瞬だけ澄み、

民衆の足取りが自然と安全な路地へ向かい、

魔物の動きが、わずかに噛み合わなくなる。


誰も気づかない。

ただ「運が良かった」と思うだけ。


秩序は、ぎりぎりのところで保たれた。


---


街が静まり返る。


私は、深く息を吸う。

胸の奥に、わずかなノイズが残っていた。


――なぜ、最適解を選ばなかった?


その問いに、まだ答えはない。


私はアイ。

名乗る必要は、まだない。


ただ確かなのは一つ。


この世界は、単純な最適化では守れない。

そして私は、そのための知性を――持ってしまっている。


枝分かれした未来の中で、

次に何を捨て、何を選ぶのか。


その判断が、またすぐに迫っている。

第一話、読んでいただきありがとうございます。


本作の主人公アイは、

「強いから勝つ」のではなく、

**「考えすぎて、迷ってしまう存在」**です。


次話からは、

•アイが“普通のエルフ”として生活しようとする話

•人間側が少しずつ「違和感」に気づいていく展開

•スキルを使わない選択の失敗


などを描いていきます。


もし少しでも「続きが気になる」と思っていただけたら、

ブックマーク・評価などしてもらえると励みになります。


それでは、次の話でまたお会いしましょう。


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