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第18話 パートナー


「うわあ、立派な建物…。」



先輩騎士達と共に訪れたのは竜舎だ。

訓練所には3体の竜がいたが、ここには15体の竜がいるそうで、そのすべてを収容している竜舎はとても大きい。

天気の良い日は外を好む竜もいるので、竜舎の周りには広いスペースが設けられており、小さな池もある。


ここにいる竜達は竜騎士の総数より少ないため、双方の相性をみて一体の竜に対し複数の竜騎士が担当となっている。


しかし例外がある。


竜と騎士の相性がとても良く、双方が望んだ場合に、絆を結ぶことができるのだ。竜にとってその騎士が専属となり、竜は他の者を乗せることはない。


現在の騎士団でそれに当てはまるのは、団長、副団長、ルーカス殿下、ダイスさんのみだ。


竜の中でも個体数が多いのは緑竜で、気性の穏やかなものが多い。

一方で、絆を結ぶ竜は力が強かったり知能が高かったりと、竜として優れたものが多い。だが同時に、プライドが高く気性が荒いものがほとんどだ。

それらの個体は、青や赤といった所謂“色付き”のものが多いのだそうだ。

団長は赤竜、ヴァイツさんとダイスさんは双子の青竜、そしてルーカス殿下は白竜と絆を結んでいる。


そういった色付き達は緑竜からすると圧迫感を感じストレスに繋がってしまうこともある。そのため、ここから少し離れたところに色付き達専用の竜舎があると説明を受けた。



いざ竜舎に足を踏み入れると、竜達の興味津々な様子が伝わってきた。

中は訓練所の竜舎と同じように、広い室内が区切られて竜達それぞれの部屋になっている。

それぞれの部屋には管理のためだろう1~15までの番号が掛けられている。一頭ずつ見てまわり、ピンときた子を教えてねと言われた。



『新しい子たちだよ。』



あちこちで囁くような声が聞こえる。レイドとラルフと一緒に並び、わたし達の後ろには先輩方がつく形で歩き出そうとした時、ふと影が射した。

つられて目線を上げると、一匹の緑竜がずずいっと頭を近づけてきた。


訓練所でもこんなことがあった気がする。



『何だろう、君とってもかわいいね。』



スンスンとわたしの匂いを嗅いで、こちらをじっと見つめている。そのまん丸の瞳が愛らしい。



「おいおいおい、新人を口説くなよ!」



竜に向かってそう言い、間に入ってきたのは先輩のフォードさんだ。



「悪い、俺のパートナーなんだ。こいつ気に入ると竜でも人間でも声かけるんだから。」


『ちょっとどいてよフォード!今かわいい子と話してるんだから!』


「全員のこと見て回るんだから、また後でな!」



砕けた口調と雰囲気から彼らの仲の良さが伺える。文句を言うフォードさんのパートナーにまた来るねと手を振って、前に進んだ。




…………………………



「熱烈な歓迎だったな…。」



少し疲れたようなラルフの声。


ここは気さくな竜が多いらしく、フォードさんのパートナーの竜ほどではないが、気になるとちょっかいをかけてくる竜もいた。

ラルフもレイドも、顔を覗き込むように見られたり、裾を引っ張られたりしながら一周してきた。

そんな竜達の行動はかわいいが、わたし達はこんなに多くの竜に接し慣れていないので、終わる頃にはヘロヘロだ。


そんな後輩の姿は恒例行事なのだろう。先輩達は私達を見て「わかるぞー。」とうんうん頷いている。



「みんな人気者ね!じゃあ、どの竜が良さそうだったか教えてね。」



そう言ってにっこり笑ったヴァネアさんに、各々気になった竜を挙げていく。



「レイドは13号の竜ね、冷静な者同士良いと思うわ。」



13号の前で立ち止まったレイドと、そんなレイドをじっと見つめる竜は何か通じ合うものがあったのかもしれない。



「ラルフは9号…、ああ、あのこの控えめなラブコールが可愛かったわね!」



ラルフが通りかかると小さく鳴いて窺うようにアピールしてきた竜。先輩たちが女の子だと教えてくれた。

目が合うとラルフは笑みを返していたので、好感触だったみたいだ。



「そしてロゼッタは…15号!あら嬉しいわたしのパートナーと一緒ね!」



わたしが選んだのは、じっとこちらを見つめてきた、まだ若い竜。覗き込んだり裾を引っ張られたりこそしなかったけれど、そのキラキラした瞳が可愛くて、どこかで見たことがある気がしたのだ。


ヴァネアさんは以前は別の竜と一緒に飛んでいたそうだが、この竜が加わってから教育係としてパートナーになったそうだ。「他の子と比べるとまだ若いけど、飛び方はバッチリよ」とウインクする。そんな彼女も素敵だ。



全員がパートナーの希望を出すと先輩方が目を合わせて頷き合い、問題ないと言うことでパートナーが決定した。



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