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連れてこられた
あのあと、 ―― 詰所にあらわれたチサイは、トクジが布をめくってみせた骸の顔をじっくりみると、やはり顔は手慣れたものが刃物ではいたのだろうと断言し、さらにみようと手をのばしたのをとめられると、からだがみたい、とトクジにもうしでた。
骸のからだの前面はほぼ腐ってしまっていたが、どうにか残っていた背中だけみたようだ。
《みたて》は、やはりあの川岸で、顔を剥がれて死んだのだろうというものだった。
「手足にしばられたような跡はみえないので、その《術》で連れてこられたのでしょうかね。 こわいものですな」
そう、うなるように腕をくんだチサイが、セイテツが行ったときになぜ、『川を清めに三人の坊主がむかった』のを、《知って》いたのかは、後日理由がわかった。




