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《くちだし》
だがなあ、とコウアンは首をかたむけ、ドウアンをみた。
「 ジュフク様たちは、スザクとちがって、『縁』はとりあげられてはおらぬぞ」
でなければ、わしらがこんなこと話せはしないだろう?とセイテツにきく。
たしかにそうだ。
スザクの場合は『縁』を《くちだし》でとりあげられているので、ふたりに血のつながりがあるということすら、だれも口にはできなかった。
それほど帝の《くちだし》は術として強く、絶対だ。
「 でも、取り上げられてないからといって、ひどいことに変わりないだろ。 ―― ジュフク殿はああして歳をとり、帝は ・・・あのままじゃないか」