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おれでよけりゃ
なるほどな、とうなずいたタクアンは、それじゃあもういいな、とトクジをみた。
「 さっきの人たちには、トクジが引導をわたしてやったほうがいいだろ。おれとこの人は、天宮のシャムショにいって、この二人の身元を確認してくる。どこに住んでいたかわかれば、そこから何かわかるかもしれねえからな。 ―― あんた思った通り目が効くな。手伝ってくれるかい?」
おめえコウドにあんなこと言ったくせに、とトクジがにらむ。
「いや、トクさん、いいんだ。 あんなふうにはっきり言われると、改めてじぶんのバカさに気付けるってもんだ。 ―― おれでよけりゃ、おともしますよ」
タクアンはトクジに勝ったような顔をむけ、コウドの肩をたたいた。




