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みてろ
コウドが聞きなおそうとしたとき、タクアンのひくい経がながれはじめた。
つぎに、手が文字を綴りはじめると、「 、 、 」発する音にあわせて指をふり、そのまま穴へととびこむ。
だいじょぶですかい?と寄ろうとしたコウドは、トクジの腕でとめられた。
「 ―― まあ、気色のいいもんじゃねえが、みてろ」
穴の中から、 が、とか、 ご、という音がして、 つぎに、晒でまかれた骸が、ごぞり、と動いて、立ち上がった。
「 っひ 」
ひきつった息がもれたおのれの口をコウドはふさいで見守る。
タクアンは、たちあがった二つの骸にむかいあっていた。




