73/142
死人が待つ
セイテツさま、とむいた顔は、安堵している。どうやらやはり、シュンカも戸惑うところがあるのだろう。
なにしろ、みているこちらが心配になるほど、顔が近い。
「 チサイ先生、シュンカはもう帰るから、その手を、はやく、はなしてくれ」
ちかよったこちらを見ようともしない男に、さすがに、声がとがってしまう。
ゆっくりと、とめていた息を吐くような音がして、ああセイテツどの、とようやくチサイがこちらをみあげた。
「きいてるだろう?先生にみてほしい死人がまってるんだ」
「ああ、そうだ、もうしわけない」
ようやく手がはなされ、シュンカが、チサイ先生のお荷物を用意いたします、とセイテツをみてから奥へゆく。




