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腐らせる血
ご注意。血の表現あり
すまなそうな顔をスザクにむけるが、うけた男は、ならちょうどいい、とセイテツをみた。
「テツ、おめえ、シュンカといっしょに帰ってやってくれ」
「ああ、いいけど・・・・どうした?」
「川の清めに時間がかかりそうだ。 ―― みろ」
スザクがおのれの血まみれの着物を、かるくゆらすと、ぼろぼろと血の付いた布が、足元にこぼれおちた。
コウアンがすかさず、経をのせ、懐からだした塩をまく。
「 ―― てっきり、この『気』のゆがみで『骸』のまわりの草が枯れてるのかとおもったんだが、そうじゃなくてこの、『血』のせいみてえだな」
布がまるで、腐ったかのように、はがれておちてゆくのを、みなでながめる。




