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双子
「 べつによいではないか。 知られて困るようなこともなし。 ―― ジュフクさまと帝だって、双子であるのを隠しているわけでもないしな」
「ふたごっ!?」
セイテツの叫び声に、坊主ふたりはあきれたような目をおくる。
「おまえ、 ―― そんなことも知らずに、ここに住んでいるのか?」
よく追い出されんな、とコウアンがへんに感心したように太い腕をくむ。
「帝は、ジュフクさまの双子の弟ぎみで、ウツワだ」
「・・・『ウツワ』?」
口をあけたセイテツを冷めた目でみた従妹は、目をとじて、ひどくながい息をはく。
「・・・おまえが、ここに来ることになった時、おれが教えたことを、ひとつも覚えてないのだろう?」
「あ~・・・ほら、あんときは、おれも混乱してて・・・・」