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どこかへ消えた
「その病のからだで消えたらしい」
「きえた?」
トクジはセイテツと目をあわせる。
「寝込んでる間に、だれかにやられたってことか?」
だとしたら、それはそれで、心配事がひとつ減る。
だが、ドウアンは太い首をかき、そうではないようでなあ、とうなるような声をもらす。
「 ―― ケイテキは身代わりとなる《写し》がたくさんおって、いままで誰も気づけなかったようだ。 だがな、《写し》た偽物はぜんぶ、いまだ消えることもなくおるんで、術をほどこした当人はどこかに生きて居る、ということだ」
どっかに隠れてるんだろ、とセイテツがつまらなさそうに言う。
「からだが弱って初めて己の行いでもふりかえってみて、いま狙われたら困るぐらいの自覚がでたんだろ」




