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役神(えきがみ)の働き
シュンカほどの『気』の持ち主ならば、それもあってとうぜんだ、と元神官であって、いまだに赤ん坊に《祝福》をおくる仕事だけしているセイテツはうなずく。
「 だろう? なのに、 ―― 西の将軍のケイテキには、その『別記』がないらしい。 おれはいまだ会ったことはないが、なんでもひどくゆがんで大きな『気』を持ってるらしいな」
「ああ、スザクが言うには、人のうらみつらみも背負ってるらしいがな」
すれ違っただけで肌が泡立ったよ、といつかを思い出し、セイテツは腕をこする。
「西の領内ではいくつか大きな戦があったりで、いっとき、神官の《祝福》がうけられないこどもたちがいただろう?」
「まあ、役神たちの働きで、それももらさずシャムショの記録にはのったはずだけどね」
神官を手伝い《祝福》の手伝いをする『役神』は数が多く、それらがその日に生まれた赤ん坊の記録を、シャムショにとどける。




