49/142
なにか言うことは?
その頭をなでながら、そういうわけで、とトクジはドウアンにむきなおる。
「おれがこいつの《徳》は保証する。 ―― で?ドウアン、この子になにか、言うことはねえのかよ?」
シュンカの顔をめにしたときから、いままでみたこともないような呆けた顔で口をあけていた男は、にやけたセイテツと目があうと気をとりなおしたように口を閉じ、片手をシュンカのほうへむけると、なにやら「 」小さくつぶやいた。
「おい、ドウアン、てめえ、なに経文字なんざとなえてやがる」
トクジが首をかきながら文句をいえば、納得しかねたような顔がむき、信じられん、と縁側にのりあがり、シュンカの顔をのぞきこむ。
「 ―― 生まれ変っていない、そのままの魂だ・・・」




