前へ目次 次へ 43/142 まさか一度 『気』が遠くへ、ということは、 ―― 。 「・・・いや、そりゃねえだろ。まさか手をにぎったまま、そこで一度死んでるわけでもねえだろうしな」 トクジは左の頬に薄く残る傷跡をかいた。 少し前までは、えぐれるような傷跡だっとそれは、シュンカといっしょにいることで、ここまで浅く治ってしまった。 わらいながら、記憶にある『禁術』をさぐるが、そんな類のものには思い当たらなかった。 念のため、高山にきいてみるがよ、とシュンカを安心させたとき、その懐かしい《気配》に気づいた。