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どこか遠くへ いなくなる
「でも・・・、そういうときのチサイさまは、・・・」
そこまではなして、おもいなおしたように口をとじた。
言っていいものかどうかを迷っている顔にうなずくと、おれの思い過ごしだとおもうのですが、とゆっくり続いた。
「 ―― チサイさまが、 いなくなる ような・・・感じがします」
「いなくなる?だって、手をにぎってやがんだろ?」
「そうなのですが、・・・チサイさまの『気』が、なんだかときおり、遠くへいってしまう感じがするのです。 ―― そんなことって、あるでしょうか?」
まだ知らない『術』があるのをわかっているシュンカは、トクジならこの世の『術』すべてを心得ていると思ったのか、問うた。




