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トクジの『ずる』
療養所に入ってからも、女同士のくちげんかやとっくみあい、見張りに立つ男衆を誘ってそこを抜け出しての心中さわぎなど、とにかくいろんなことが起こる。
だが、シュンカが色街を訪れるようになり、すこしずつ、そんな騒ぎも少なくなってきたようだ。
しかも、トクジの補佐につくコウドという男が元軍人で、すこしばかりケガや病気の手当について知識があったため、
トクジは、 ―― おもいつきですこし、『ずる』をすることにした。
シュンカが、自分の『気』をあやつれるようになったとき、シュンカとコウドを呼んで、二人でもって、《医者みたいなこと》を、やってくれ、と頼んだのだ。




