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街の医者
「 西は薬草も多く流れていて、薬屋もおどろくほど多かったです。 それに、将軍みずからが集めた医者の数も多い。それゆえ、持ち回りで、貧しい者たちもみるための、『医院』というものがあるのです」
さすがにそのはなしには、トクジもうなった。
「そいつはすげえ。おれもじつは、そいうのをここでやりてえと思ってるんだが、来てくれる医者がいねえ」
色街に医者はいない。
隣り合う街には商店のための医者がいるが、どれも金持ちしかみないときめているようで、とんでもない額を口にする。
それでも、しかたなく『薬』だけは分けてもらっている。
色街で病にかかった女たちは、『離れ』とよばれる《療養所》に集められている。




