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はじめてきた
ただ、おのれの性質を考えれば、きっとほとんどが、こちらの不注意を、むこうがただしたものであろうとは、考えられる。
なので、こどものころ二人で過ごさなければならない時間が終わると、最後にぐったりとしているのは、いつもむこうだけで、こちらが手をふっても、恨めし気な目が、かえされるだけだった。
「 セイドウ・・・じゃなくて、ドウアンがここに来るなんて、初めてじゃないのか?」
水もかぶり、着替えてからもどると、用がなければ来るわけなかろう、とセイドウから名をドウアンにあらためた従妹が、こしかけているテーブルを、いらだたしげに指先でたたいた。