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苦手
「 ・・・幾日遊び呆けていたか知らぬが、一度その、『茶屋』の匂いを、全部ぬいてから顔をだせ」
「いや、顔をだせって、・・・来てるのはあんたらのほうで、ここはおれが住んでる場所なんだけど」
「いいから、水で清めてこい!」
これにコウアンが声をあげてわらい、セイテツは藁色の髪をかきながら、しかたなく井戸端へとむかった。
あの、年上の口うるさい従妹が、セイテツは昔から苦手だ。
七つという歳の差もあり、であったころから、むこうはこちらを律するのは当然と思っているようで、命令と注意以外の言葉をかけられた記憶がない。