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さすがの男
ほんとうなら、間に合わなかった、とあとからトクジにきいたのだが、医者であるチサイの処置と、シュンカの少しの『気』のおかげで、男は助かったのだ。
「わかりました。 ―― 鍬や錆び釘で、こんなことになるなんてはじめて知りましたから、どの店でも、気をつけるようふれまわっておきました」
「それなら安心だ。ありがとうございます」
「さすが、コウドさん。気がまわるのがはやいですね」
チサイとシュンカの言葉に、いやいや、と照れて頭をかくのに、足の治療をおえたミノワという男衆は、わらいをかみころす。




