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次は死ぬから
ゆったりと微笑んでいるチサイが、では、とシュンカから小瓶をうけとり、この薬を一日二回は必ずつけること、とふってみせた。
「 ―― いいですか? 次にまた、こんなけがをしたときは、すぐにみせにこないと、死にますからね」
やさしい声で、こわいことを伝える医者は、コウドをみあげると、この方にはまだしばらく、仕事はさせないでください、という。
男衆のこのケガは、里の家に帰り、畑を手伝っていた時に自分の足に鍬の先をさしたもので、色街にもどってからも医者にもみせずにいようとしたのを仲間がみとがめ、ひきずるように連れてこられたのだが、そのときはもう、冷や汗でびしょぬれなうえ、口もうごかせないような状態だった。




