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文句をいうな
トクジの拘束からのがれた男が、「ちくしょお、」と立ち上がろうとするのを、また片手でおさえこむ。
「まだ、チサイ先生がいいとおっしゃってねえだろが」
「ウド兄、ひどいじゃねえか。首がおかしくなりそうだった」
「てめえが先生に、文句をつけようとするからだ」
「だって、いてエもんは、いてエ」
「その『いてえ』のを、なおしてくださるって言うのに、てめえの態度はなんだ?」
椅子にすわり、足の治療をおえた男と言い合いになるコウドは、こちらを困ったようにみるシュンカとめがあい、あわてて口をとじ、先生のはなしをきけ、と、つかんだ男の頭をチサイのほうへむけた。




