141/142
生かされる
そのあっさりした返事に、ドウアンはトクジをみたが、そばできいていたトクジは黙ったままだった。
「 だけど、かからなかったら、―― それはミノワが生かしてくれたんだ」
コウドは晒のまかれた腕をたたいてみせる。
「・・・そうか」
ドウアンはうっすら笑むように口をとじ、そのまま木戸をくぐっていった。
庭でシュンカの手から米粒をもらっていた小鳥も、坊主たちを追うようにとびたつ。
「 ―― なあ、トクさんよぉ」
まぶしそうにコウドが小鳥をめで追う。
あん?とこたえたトクジは、とりあえずシュンカの肩に腕をまわして、つかれたからだをいやす。




