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もうひとつの誓いを
きっとひどく落ち込んでいるだろうと思った男のけはいが奥から現れた。
「 なんだよ、トクさん、おれはここだ 」
出てきたコウドは、もろ肌脱いで首に手ぬぐいをかけていた。
腕には、晒を巻いている。
「いや、すまなかった。おれがここを空けちまったんで、またひと騒動おこるとこだった」
頭をかいて、《頭》であるトクジにあやまるその顔は、水をあびたせいでさっぱりしてみえた。
目だけはひどく赤かったが。
「・・・コウド、おれの、」
「いや、謝らないでくれよ。 なあ、トクさん、おれは、今日から、シュンカのために命をかけるという誓いに続いて、もうひとつ誓う。 ――― ミノワの中にはいったヤツを、ぜってえぶっころす」




