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《最後》
「コウドがでていったとたん、血を吐いて倒れたらしい。自分に寄るな、とさけんで、 ―― にぎっていたコウドのクナイを、胸につきたてた。 血をまき散らさないよう、からだを小さくまるめて死んだわ。 ・・・せめて最後は、とでも考えたのだろうな」
「くっそ・・・ ―― コウドは?」
トクジは男衆からのつなぎで化かし辻にむかい、辻の角におかれた大石と術札をあらため、割れていた札をとりかえ、辻の地場に乱れが残っていないかを確かめてからもどってきていた。
屋根の上にあったミノワの骸はスザクが始末したところだった。
前に拾った二体と同じように、経のかかれた晒で巻くと、あとをタクアンにまかせてスザクはさっさと消え、コウドのようすをみたタクアンは、あの川岸でこの人の魂をよんでやろうか、と申し出たが、コウドは首をふり、タクアンにそのまま弔いを頼んだということだ。




