135/142
トクジもどる
すぐに終わる最後の章となります。
―――――――
トクジが詰所の庭に面した木戸をくぐるとき、一度あしをとめ、息をととのえた。
庭からは、なんの気配も感じ取れない。
見張りもいない木戸をひらくと、やはり庭にはだれもおらず、えんがわに、ドウアンとコウアンがすわっていた。
「おう、おそかったな」
お茶をすすってコウアンがわらう。
「 ――ってことは、みんな無事か」
とうぜんだ、とドウアンが湯呑をおく。
「こんな大ごとになっていて、シュンカがこないわけなかろう?」
いつのまにか、ドウアンはセイテツのようなことを口にするようになっている。
部屋の奥に座っていたシュンカが、ぐっと背をのばした。
「 おれだってチサイ先生にみてもらっていましたし、ここに来るのはあたりまえです」




