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はしって ひろう
代わりのように、ミノワが抱えていた男がぐいっと首をのばすと、力をなくしたミノワを片腕でかかえなおした。
空にとまったままなのに、腰から上を大きくひねるようにまわすと、そのついでのように、かかえていたミノワを、おもいきりほうりなげた。
「 っつ 」
コウドは何もかんがえずに、ミノワのからだをひろいにはしる。
うしろでは止める声がしているが、とにかくはしって、はしった。
屋根に落ちる寸前に、どうにか手がとどいたミノワを抱きかかえて瓦に転がり、割れた瓦といっしょにおちそうになる。
むこうからは、気をつけろという声がするが、どうでもよかった。




